時代小説短編集

 最適化、つまり重複を最小限にしようと精査中。

 徳間文庫による再編が中断した為に、廣済堂版を優先する事にしました。

 但し切支丹モノ(つまり第二巻「山屋敷秘図」)については文庫本初収録があるので生かします。

集英社文庫

「妖説忠臣蔵」

 旺文社版を踏襲し、本来の七編の内五編を収録。完全版は徳間文庫の合本にて。

怪異投込寺

 「踏絵の軍師」 (徳間文庫「地獄太夫」に再録)

 竹中半兵衛の孫の話となっていますが、関ヶ原のあと豊後府中二万石を貰ったのは従弟の重利で、しかも豊前高田一万石からの加増転封でした。長崎奉行になって、改易にあったのはその息子の重義だと思われます。

 「怪異投込寺」 (徳間文庫「妖説忠臣蔵/女人国伝奇」に再録)

 「獣人の獄」

 これだけ他で読めない事が判明。

 「芍薬屋夫人」 (徳間文庫「地獄太夫」に再録)

 純情な青年医師の悲劇。

 「地獄太夫」 (徳間文庫「地獄太夫」に再録)

 室町を扱った珍しい最初期の短編。若い頃に老年の一休禅師を描き、年を経てから子供時代の一休さんを扱う辺りが面白い。

登場人物 一休

ハルキ文庫

幻妖桐の葉おとし

 「幻妖桐の葉おとし」

 作品の性格上、犯人が判る表現は年表に記していません。

登場人物 高台院加藤清正真田昌幸真田幸村

 「数珠かけ伝法」 (徳間文庫「地獄太夫」に再録)

 「行燈浮世之介」 (徳間文庫の合本版「妖説忠臣蔵/女人国伝奇」に収録)

 「変化城」 (徳間文庫の合本版「妖説忠臣蔵/女人国伝奇」に収録)

 「乞食八万旗」

 明治モノからも幕末モノからも弾かれ、この本でしか読めない作品。

 「首」 (河出文庫「おれは不知火」にも収録)

 大老井伊直弼、首だけの登場。

「みささぎ盗賊」

 「みささぎ盗賊」 (徳間文庫「地獄太夫」にも収録)

 処かで読んだ話だなと思ったら、後で現代物ミステリーになった物を先に読んでいたました。執筆年月日か何ら見て原型はこちらの方らしいですけど。

 「蓮華盗賊」 (徳間文庫「山屋敷秘図」にも収録)

 舞台が海外(インド)なので年表の対象外。

 「盲僧秘帖」 (徳間文庫「地獄太夫」にも収録))

 一人の女性を手に入れるため謀略を巡らす盲目の僧の野望と顛末。

登場人物 毛利元就

 「不知火軍記」 (徳間文庫「地獄太夫」にも収録)

 天草一族の当主、初代・天草扇千代とその天草一族を滅ぼした仇敵小西行長の孫娘ルチア不知火姫の戦い。

 おそらくは「外道忍法帖」の原型となる作品である。

 「踏絵の軍師」 (集英社「怪異投込寺」にて初読)

 竹中半兵衛の孫の話となっていますが、関ヶ原のあと豊後府中二万石を貰ったのは従弟の重利で、しかも豊前高田一万石からの加増転封でした。長崎奉行になって、改易にあったのはその息子の重義だと思われます。

徳間文庫 妖異小説コレクション

地獄太夫」 初期短編集

 表題作以下17編。デビュー直後の昭和二十二年からから昭和三十八年までの単発時代短編を収録。

 「みささぎ盗賊」 (ハルキ文庫にて初読)

 「芍薬屋夫人」 (集英社文庫「怪異投込寺」にて初読)

 「宗俊烏鷺合戦」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全14 「長脇差枯野抄」にて初読)

 「地獄太夫」 (集英社文庫「怪異投込寺」にて初読)

 「妖僧」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全14 「長脇差枯野抄」にて初読)

 「山童伝」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全14 「長脇差枯野抄」にて初読)

 「悲恋華陣」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全22 「江戸にいる私」にて初読)

 「幽霊船棺桶丸」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全17 「死なない剣豪」にて初読)

 「山田真竜軒」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全22 「江戸にいる私」にて初読)

 「死顔を見せるな」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全14 「長脇差枯野抄」にて初読)

 「起きろ一心斎」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全14 「長脇差枯野抄」にて初読)

 「数珠かけ伝法」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全14 「長脇差枯野抄」にて初読)

 「お玄関拝借」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全17 「死なない剣豪」にて初読)

 「明智太閤」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全22 「江戸にいる私」にて初読)

 「国定源氏」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全17 「死なない剣豪」にて初読)

 「殿様」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全11 「切腹禁止令」にて初読)

 「一、二、三!」 (廣済堂文庫 山田風太郎傑作大全11 「切腹禁止令」にて初読)

山屋敷秘図」 切支丹・異国小説集

 切支丹物十一編に異国物三編。

 「スピロヘータ氏来朝記」 (廣済堂文庫「売色使徒行伝」にて初読) 

 キリスト教と共に来朝した有る物の話。

脇役 ザビエル

 「邪宗門仏」 (廣済堂文庫「売色使徒行伝」にて初読)

 慶長十四年のガスパルと妻子の処刑は事実らしい。処刑を行った乾午之丞(訳文では馬之丞となっている。作者は同書を読んでいるはずなので、わざと変えたのだろう)とガスパル一家の関係が少し違っていて、ガスパルの娘が午之丞の父の妻であったと記録されている。(日本切支丹宗門史1609年の記述より)

 「奇蹟屋」 (廣済堂文庫「売色使徒行伝」にて初読)

 「日本切支丹宗門史」よりズニガ神父の実在が確認できたので、その殉教年月日から確定。

 「姫君何処におらすか」 (廣済堂文庫「売色使徒行伝」にて初読)

 幕末。開国により訪れた宣教師が見た隠れ切支丹の島の驚愕の謝肉祭とは…。

 「伴天連地獄」 (ユリイカ 2001年12月号にて初読)

 二人の敬虔な切支丹信者が何故転んだか。キリスト教がすべての信者に本気で貞潔童貞の掟を課していたら絶対に信者は増えない筈なんですがねえ。

 「邪宗門頭巾」 (ユリイカ 2001年12月号にて初読)

 宗門頭巾の意外な正体が主眼だと思うが、他にも後にライバルとなる水野百助塚本伊太郎の因縁が描かれる。

 「山屋敷秘図」 (廣済堂文庫「売色使徒行伝」にて初読)

 転び伴天連キアラこと岡本三右衛門の煩悶。先輩沢野忠庵は如何にして彼を転ばせたか。

 ゲスト 柳生但馬守沢庵

 「不知火軍記」 (ハルキ文庫「みささぎ盗賊」にて初読)

 「盲僧秘帖」 (ハルキ文庫「みささぎ盗賊」にて初読)

 「踏絵の軍師」 (集英社「怪異投込寺」にて初読)

 「売色使徒行伝」 (廣済堂文庫「売色使徒行伝」にて初読)

 転び伴天連キアラこと岡本三右衛門のその後。本人はほとんど表に出てこないが、いつの間にか信仰に立ち返っている。時系列上は三十五年、執筆も二十数年空いているので話的にも繋がりは薄い。

 「万人坑」 (光文社「怪談部屋」にて紹介)

 「蓮華盗賊」 (ハルキ文庫「みささぎ盗賊」にて初読)

 「倭寇変」 (廣済堂文庫「江戸にいる私」にて初読)

妖説忠臣蔵/女人国伝奇

 集英社文庫「妖説忠臣蔵」の五編とそこから漏れた二編を加えた完全版。さらに富士見書房「ありんす国伝奇」の六編を収録。

 旺文社文庫に入る際に解体され、集英社文庫版もこれを踏襲再編したため二編が漏れたらしい。(09/10/23追記)

 「行燈浮世之介」 (ハルキ文庫「幻妖桐の葉おとし」にて初読)

 集英社版から外された漏れた一編。この作品が悪いのかといえば、大石が快活過ぎる気はしますが、でも討ち入りなんか頭にない若い頃だし、そのギャップが却って良いと思います。

 「赤穂飛脚」 (集英社文庫「妖説忠臣蔵」にて初読)

 刃傷の直後の前哨戦。全体の半分を占める中編。

 「殺人蔵」 (集英社文庫「妖説忠臣蔵」にて初読)

 統制のために猪突する同士を平然と切り捨てる大石の恐ろしさに戦慄する若き記述者。作中に記述がないので伏せます。

 「変化城」 (ハルキ文庫「幻妖桐の葉おとし」にて初読)

 歴史小説としては良い出来だと思うんですが、忠臣蔵っぽく無い点が集英社版から外された要因かですね。

 「蟲臣蔵」 (集英社文庫「妖説忠臣蔵」にて初読)

 「忍法忠臣蔵」と時系列が被り矛盾も生じますが、合わせて読むと味わいが深いかも。

 「俺も四十七士」 (集英社文庫「妖説忠臣蔵」にて初読)

 「生きている上野介」 (集英社文庫「妖説忠臣蔵」にて初読)

 忠臣蔵の後日談。

 「傾城将棋」

 松葉屋の薫太夫。年代は作中に記された蜀山人と雷電の年齢から類推。

 「剣鬼と遊女」 (廣済堂文庫「剣鬼と遊女」にて初読)

 下斗米秀之進

 「ゆびきり地獄」

 勝小吉が江戸に出張してきた大塩平八郎に協力して妖教集団と対決する。「武蔵野水滸伝」と併せて読むと面白いかも。

 他に「夜ざくら大名」にも登場する松葉屋の居候金公が一寸だけ顔を出す。

 「蕭蕭くるわ噺」

 「傾城将棋」の続き。執筆順から言っても続けて収録すればいいのに。

 「怪異投込寺」 (集英社「怪異投込寺」にて初読)

 北斎が見抜いた投込寺の墓守の正体は阿波の能役者斎藤十郎兵衛であった。しかし世に知られた別の名は…。ミステリー仕立ての良作。

 「夜桜大名」

 「ゆびきり地獄」にも顔を出した松葉屋の金公こと金四郎が水戸の御曹司の身代わりとなって桜の刺青をされる。かの有名な刺青奉行の誕生の一幕。

 蛇足:吉原に通って押し込め隠居になったのは尾張の殿様は徳川宗春、国替えになったのは榊原政岑、どちらも「昔暴れた将軍」吉宗の時代ですね。榊原家の移封先が我が地元越後高田でして…。

白波五人帖/いだてん百里

 「白波五人帖」と「いだ天百里」の合本。

博物館冒頭へ戻る