時代小説人物評伝

拾 講談篇

 元ネタが存在する人物。

袴垂保輔 (はかまたれやすすけ)

 藤原保昌に退けられた盗賊袴垂と保昌の弟保輔が同一視されて生まれた伝説的盗賊。

 高橋克彦 「視鬼」

 都を荒らす夜盗。保昌はその正体が死んだ弟保輔の悪霊であるとして安倍晴明に相談するが、晴明はそのからくりを見破った。 

頼光四天王 (らいこうしてんのう)

 平安時代の武士・源頼光の四人の家臣。

 渡辺綱は四天王筆頭で一条戻橋で鬼の腕を切り落とした逸話を持つ。坂田金時はおとぎ話の金太郎の成長した姿。残る卜部季武、碓井貞光には個別の逸話が無い。

 荒俣宏 「平安鬼道絵巻」

 戻橋で渡辺綱に腕を斬られた茨木童子は実は彼の実母橋姫の変じた姿であった。

 坂田金時は主君頼光のやり方に疑問を抱いて家中を去る。丑御前の軍勢に敗れた頼光の元に帰参して生け捕りを献策する。

丑御前 (うしごぜん)

 室町時代の浄瑠璃「牛御前伝説」で語られる。源満仲の娘。彼女を討った頼光とは姉妹になる。

 荒俣宏 「平安鬼道絵巻」

 源満仲の次男(つまり男の設定)で頼光の弟。関東に逃れて平将門の衣鉢を継ぐ。一度は頼光の軍勢を打ち破るが、火攻めにあって討たれる。

崇徳院 (すとくいん)

 無論実在の天皇、なのだけど、時代小説等では怨霊=大魔王として登場するので此処に配置する。

 軍記物「保元物語」にすでに怨霊譚が描かれる。「太平記」で非業の死を遂げた後輩を従えて天下争乱を謀議する大魔王ぶりを見せる。

 荒山徹 「太閤呪殺陣」「柳生陰陽剣」

 朝鮮妖術師による日本破壊計画に呼応せず。むしろその恨の醜さに改心し、朝鮮から日本を守ろうとして幸徳井(柳生)友景をその執行人に任ずる。

 この流れで行くと、明治天皇のお祓いは無意味だったか。あるいは大日本帝国による日韓併合も崇徳院のご加護だったか。

 高橋克彦 「青夜叉」「降魔王」

 怨霊封じの微妙に科学的な解釈。

 こちらは昔愛した女性に似たヒロインのために善行を施す。

 「白峰」(@「雨月物語」)

 白峰の御陵を詣でた西行と語らう。 

八重垣姫 (やえがきひめ)

 浄瑠璃・歌舞伎「本朝廿四孝」の登場人物。長尾謙信の娘で武田勝頼の許嫁となる。

 武田信玄の五女菊姫がモデルと言われる。

 山風版 「信玄忍法帖」

 勝頼に嫁ぐ(予定)の北条の姫にこの名を当てる。(史実に登場する北条夫人の実名は伝わっていない)

 菊地秀行 「しびとの剣」

 勝頼の妻。蘭剣の一族(つまりしびと?)の姫。

 紫靡帝抹殺を図る信長の奸計で夫・勝頼の軍勢に攻められる。

真田十勇士 (さなだじゅうゆうし)

 真田幸村に仕えたとされる架空の家臣。派生作品は多く、すべてを列記するのはおそらく不可能。

 山風版 「刑部忍法陣」「叛旗兵」「いだてん百里」 関連作品「信玄忍法帖」

 十勇士は登場せず、猿飛佐助のみ。忍者の代名詞だけに、逆に忍法帖では使いにくいらしい。普通の(つまり非忍法帖モノ)時代小説では定番キャラとして顔を出す。

 先代と思われる猿飛天兵衛と相棒の霧隠地兵衛が「信玄忍法帖」に登場する。

 えとう乱星 「用心棒・新免小次郎」

 幸村の作った噂で実数はその半分。望月六郎、三好伊佐入道とその妻・青海。猿飛こと木猿佐助、筧十蔵。伊佐は恐らく大坂の陣で死亡。生き残りはおのおの幸村からの秘命を追って真田家や豊臣家の関連人物を守る。

 荒山徹 「徳川家康」 「鳳凰の黙示録」 「魔風海峡」

 それぞれの展開は異なるが、徳川の服部忍者には圧勝するのに朝鮮忍者・妖術師相手には苦杯をなめる引立て役。

 友景サイクル逆十字サイクル(「魔風海峡」)では辛うじて痛み分け(渡海した七勇士の内、生き残ったのは佐助と海野六郎のみ)であった。

 大戦争サイクル(「徳川家康」)では秀頼暗殺を阻止するために壊滅。一人生き残った才蔵(「魔風」で真っ先にやられたのとは対照的)は、家康が偽物であることを突き止めるが、主君幸村が欝状態のため独自行動を取る。

 鳳凰サイクル(「黙示録」)では全滅。執筆順で見るとだんだん扱いが悪くなる。

 五味康祐 「猿飛佐助の死」 「真田残党奔る」

 猿飛佐助の設定が異なる。前者では普通に甲賀忍者だが、後者では伊賀。(普通伊賀忍者になっている霧隠才蔵は甲賀で、しかも才女と言う女性)

 佐助の師匠の名前をよく知られた白雲斎ではなく月雲斎としている。師の遺言で真田家のために働くことをしなかったが、結局真田家のために死ぬことと成った。(「猿飛佐助の死」)

 大坂落城(秀頼幸村も生き残っていないらしい)の後、生き残った数名が徳川の世をかき乱す為に奔走。徳川の権臣本多正純の宇都宮城下で徳川家内部の内紛を聞きつける。柳生新太郎の持ちかけた太陽の使者に参加するが、松平長七郎の突き止めた陰謀の全容を知り火消しに回る。

 こちらは逆に佐助だけが生き残った可能性がある。(「真田残党奔る」)

 明石散人 「鳥玄坊」シリーズ

 筆頭の筧十蔵が宮本武蔵に天狗翔飛び切りを伝授したと言う。

 霧島那智 「真田幸村の鬼謀」

 別働隊として三名(佐助・才蔵・鎌之助)が秀頼を薩摩へ落としてその子孫による徳川宗家乗っ取り百年の計を成し遂げる。

 柴錬版 「柴錬立川文庫」

 幸村の息子である大助幸綱が入っているなど、面子が多少違う。

 佐助は武田勝頼の遺児。才蔵は異邦の生まれ。三好青海は石川五右衛門の息子。

 半村版 「黄金の血脈」

 幸村を主君とするもの(佐助、三好兄弟、穴山小助、筧十蔵)、昌幸を主君とするもの(由利鎌之助、滋野三家=海野六郎、根津陣八、望月六郎)、そして長安旗下の出向人(霧隠鹿右衛門=才蔵)に分かれる。

 十勇士の佐助の本姓は猿渡でありヒ一族の佐助とは別人である。

 朝松健 「真田幸村 家康狩り」

 慶長の陣の最中に、家康狩りの前哨戦として家康の切れ者の家臣を幾人も討ち取る。十勇士の活躍と言うと普通は九度山での隠棲時代なので、この時期の活動は珍しいかも。九度山時代はどちらかと言うと昌幸・幸村を守っての防戦ばかり。(半蔵はともかく、既に老齢の酒井忠次や本多重次よりももっと若い将を狙うべきでは。まあ史実どおりなんですけど)

佐々木小次郎 (ささきこじろう:?〜1612)

 宮本武蔵と決闘して敗れた。実在の剣士であるが、その詳細は不明。

 山風版 「叛旗兵」「武蔵忍法旅」 関連作品「忍法剣士伝」

 武蔵と組んで本多家の隠密を務める。が、伊達家や細川家に仕官を求め、それが裏切り行為とされて巌流島の決闘に至る。

 服部半蔵の指導を受けて「燕返し」(刀の切っ先を掴んで振るう)の秘剣を会得する。

 「忍法剣士伝」に冨田勢源の弟子として”佐々木岸流”が登場し、長刀で空飛ぶ燕を切り落とす妙技を披露。しかしその岸流も師と同格の師岡一羽の前にあっさりと敗れる。

 えとう乱星 「十六武蔵」

 冨田勢源の弟子佐々木巌流の息子。細川家の求めに応じて剣術指南となるも、その美貌が主君忠利を惑わせたと誤解した長岡佐渡の差し金で、宮本武蔵との決闘となり命を落とす。

 五味康祐 「二人の武蔵」

 武蔵と戦ったときに六十九歳の老人。

 播磨別所家に仕えてたが、家中で人を斬って逐われる。遺児が彼を狙う途上で病死したことを知ってその地を訪ねる。その途中、柳生から江戸へ向かう岡本武蔵と道連れになる。

 彼が平田武蔵の叔父巨雲斎を切ったことで巌流島の決闘を招く。決闘の期日も史実にある慶長十七年でなく(「史実の裏付けは何ひとつないらしい」として)十一年のことにしている。

 荒山徹 関連作品「密書「しのぶもじずり」」

 娘と松平忠直との間に生まれた小四郎忠政が松島で武蔵を破る。

 柴錬版 「柴錬立川文庫」

 多芸御所・北畠具教の遺児。父を討った新免武蔵守一真の息子宮本武蔵義恒を仇と狙う。武蔵を自らの手で討つために吉岡道場との戦いでは支援する。

 舟島の決闘で武蔵に敗れ、一命を取りとめるも痴愚となる。大坂の陣で偽武蔵(猿飛佐助)に同じ眉間を打たれて正気に戻る。

山田浮月斎 (やまだふげつさい)

 疋田豊後の直弟子あるいは孫弟子で疋田陰流を名乗った。

 実在と思われるが詳細が不明なのでここに置く。

 五味康祐 「柳生武芸帳」

 寺沢志摩守広高の小姓。唐津に立ち寄った疋田文五郎より剣を学ぶ。柳生武芸帖の内容を知っていてこれを狙う。但馬守との立会いで左足首を切る。

 関ヶ原前夜、三成の依頼で伏見で家康を狙うが大久保彦左衛門の鑓で退けられる。

 冒頭で主君寺沢堅高に策の破綻を告げて自殺を迫る。

 荒山徹 「十兵衛両断」 「砕かれざるもの」

 唐津寺沢家武芸指南。鍋島元茂の招請を受けて柳生十兵衛の再生に助力する。

 宇喜多秀家の庶弟で実名は秀直。八丈島に流されていた兄秀家の孫秀親に剣を仕込む。

 前田家の危機にあって秀親を使おうとするが、柳生家に先を越されてしまう。代わって兄から剣を学んでいた(未完の大器)秀景が出馬することとなる。

 竜造寺の姫を救う件は「武芸帖」の本歌取りでしょう。その後の展開が全く違うので姫の名前を変えていますが。

陳圓圓 (ちんえんえん)

 明末清初の傾国。呉三桂が清に投降するきっかけとなった。(実在の女性であるが、その実情は謎に包まれている)

 伴野朗 「傾国伝」

 明国への人質とされた天草四郎の妹まどか。瓜二つであった邢沅と入れ替わって援軍の約束を破った明国への復讐を果たす。

 明国の完全滅亡を見届けて姿を消す。

松平長七郎 (まつだいらちょうしちろう)

 駿河大納言忠長の落胤とされる架空の人物で、彼の遺児が鷹司松平家の祖・松平信平になったとされる。

 村上元三が彼を主人公にした小説を書いて広く知られるようになった。

 えとう乱星 「かぶき奉行」

 由比正雪の計画に巻き込まれる。

田宮坊太郎 (たみやぼうたろう) 江戸浄瑠璃「花上野誉の石碑」

 寛永十九年に実際にあった田宮小太郎による丸亀の仇討ちをモチーフとしている。

 山風版 「魔界転生」

 転生衆の一人。森宗意軒由比正雪のお膳立てで尾張の柳生如雲斎の眼前で魔界転生を遂げる。

 えとう乱星 「用心棒・新免小次郎」

 死んだモノとされて柳生宗冬の刺客として働く。

仁木弾正 (にきだんじょう)

 伊達騒動を元ネタとした伽羅先代萩の悪役。そのモデルは原田甲斐。

 山風版 「忍者仁木弾正」

 森宗意軒配下の忍者。これを本物の原田甲斐と絡ませるところが山風の真骨頂である。

 明記はされていないが、能力その他の条件から甲賀卍谷流と思われる。あるいは伊賀守護家の仁木氏と何か関係があるのか?

田宮伊右衛門 (たみやいえもん)

 四谷怪談の登場人物。鶴屋南北の「東海道四谷怪談」で忠臣蔵と結び付けられた。

 朝松健 「元禄霊異伝」「元禄百足盗」「妖臣蔵」

 伊左衛門の名前で登場。不正経理で赤穂浅野家を追われ、同心田宮伊織の娘お岩に婿入りする。(東海道四谷怪談では婿入り先が塩谷=浅野家臣であった)

 魔が祓われて脱落した寺坂の替わりに四十七人目となる。が、仇討ちに加わる前に自身が仇として討たれる。

山内伊賀亮 (やまのうちいがのすけ)

 大岡政談における天一坊事件の参謀。

 山風版 「忍者月影抄」「おんな牢秘抄」

 吉宗がおよしに与えた御墨付を入手して、およしの兄の山伏の子を落胤に仕立てて天下を狙う。吉宗が与えた短刀は天一坊の実父が酒代に代えてしまっていたので代わりを探してお手つきの女性の元を訪れる。

 柴錬版 「徳川太平記」

 少年期の吉宗を剣でやり込める。吉宗の落胤の赤子を手に入れて一旗上げようとするが、兵法者神矢主膳に斬られる。決闘の条件として神矢は山内伊賀之介の名とその使命(天一坊を父吉宗と対面させること)も引き継ぐことと成った。

 吉宗暗殺を請け負っていた神矢は天一坊が討たれた後、吉宗に一騎打ちを挑んで撃ち殺された。

雲切仁左衛門 (くもきりにざえもん)

 大岡政談に登場する盗賊。

 柴錬版 「徳川太平記」

 山内伊賀亮と決闘し片目を失う。その後、天一坊の家臣に加わって横死。

白波五人男 

 歌舞伎『青砥稿花紅彩画』に登場する五人の盗賊。「白波五人男」は通称。

 日本駄右衛門=実在の盗賊日本左衛門。但し、先行する大盗賊石川五右衛門の人物設定が強い。

 弁天小僧菊之助=女装の美青年。容姿や名前は初演を勤めた五代目尾上菊五郎を投影。

 忠信利平=歌舞伎「義経千本桜」の狐忠信。

 赤星十三郎=実在の美少年盗賊・白井権八

 南郷力丸=日本左衛門の手下南宮行力丸。

 山風版 「白波五人帖」

 五人には名乗りの順番があるが、作品上の並びは異なる。史実と虚構の融合の為、頭領は駄右衛門ではなく左衛門である。

 弁天小僧菊之助

 実は老中松平左近将監乗邑の三女菊姫。つまり女装が得意な美青年ではなく、男装の美女。左衛門の一行が流謫地へ向かう乗邑の一行を襲った際(この時点で少なくとも南郷力丸は手下に存在する)に性別を偽って参加。性別がばれるのを嫌ってか、逆に女装を嫌がる。

 密かに思っていた忠信を逃がす為に死ぬ。

 南郷力丸

 自首して出た日本左衛門を救おうと単騎苦闘する。他の三人は別行動中。赤星と忠信が駆けつけたときには時遅く、情婦のお林と心中立て。

 赤星十三郎

 元加賀前田家の御徒士で大槻内蔵允のお気に入りだったが、お家騒動に巻き込まれて放逐される。やはり美男で、弁天小僧に代わって女装担当。

 自分を帰参させようとして加賀騒動に荷担した女を救おうとして共に逝く。

 忠信利平

 一人逃げ延びて南郷の二人の妹の面倒を見る。彼女たちが悪の道に落ちようとするのを諭すため、頭領と同じく自らお縄に付く。

 高木彬光 「隠密月影帖」

 日本左衛門の部下として登場。

 荒俣宏 「弁天小僧」

 登場するのは主人公の弁天小僧菊之助とその相棒南郷力丸だけ。

 菊之助は女装の若衆と見せかけて実は女性。

自来也 (じらいや)

 大本は宋代の中国の盗賊。(作中では明代とある)それを元にして日本でも読本が書かれる。

 山風版 「自来也忍法帖」

 作中には自来也の敵役として服部大蛇丸も登場するが、自来也の妻である綱手は大蛇丸方で登場する。しかも最後の勝利者は彼女っぽい。

 柴錬版 「忍者からす」

 その正体は旗本大田蜀山人。

 漫画 「NARUTO」

 伝説の三忍として自来也、綱手、大蛇丸が登場する。読んでないから詳しい事は知らないけど…。

天保六歌撰

 二代目松林伯円の創作にかかる講談、あるいはこれを元に河竹黙阿弥が歌舞伎狂言として書いたもの。それに登場する6人の男女。

 河内山宗春 実在した江戸城の茶坊主で、文政六年に捕縛され牢死した。創作上では宗俊の名で御数寄屋坊主とされ、義侠的に描かれる。

 片岡直次郎 実在した御家人崩れの小悪党。

 金子市之丞 剣客。

 森田屋清蔵 盗賊。

 暗闇の丑松 博徒。

 三千歳 直次郎の恋人の花魁。

 山風版 「宗俊烏鷺合戦」「剣鬼と遊女」「夜ざくら大名」「警視庁草紙」

 天保時代を書くときに欠かすことの出来ないネタ(定番)キャラとして登場。

 降って明治の世に、河竹黙阿弥が元茶坊主の幸田成延(露伴の父)に取材する話で、老いた三千歳花魁が登場する。

 柴錬版 「うろつき夜太」

 宗春が登場するが、天保の末年には既に牢死しているはず。まあ海のかなたへ消えたはずの狂四郎もいつも間にか戻ってきているから一種のパラレルワールドなのかも。

 山田正紀 「天動説」

 宗春の獄死はいんへるの寿庵の手引きによる偽装。甲賀組の成り立ちについて小森主馬に語り、彼をさたんの手下に引きずり込む手引きを行う。

平手造酒 (ひらてみき:?〜1844)

 幕末の剣客。本名は平田深喜。

 笹川繁蔵の助っ人として飯岡助五郎との大利根河原の決闘に参加し闘死した。

 『天保水滸伝』で千葉周作門下とされ、酒乱や胸の病と言う設定を附与される。

  山風版 「武蔵野水滸伝」

 八州廻り選抜試合で師匠の千葉周作と対戦するも喀血による敗北。

 笹川繁蔵の用心棒となって下総を担当する千葉周作親子を迎え撃つ。負け組で唯一知行散乱の術を拒絶。単身妖侠客・妖剣士達に切り込む。

山ン本五郎左衛門 (さんもとごろうざえもん)

 『稲生物怪録』に登場する妖怪。武太夫に魔力の鎚を譲る。

 荒俣宏 「帝都幻談」

 魔力の鎚は譲ったのではなくすりかえられた。

 源内が手に入れた鎚は偽物であったが、加藤重兵衛は本物を探し当てて山ン本らの西の妖怪を配下にする。

洪吉童 (ホンギルトン)

 朝鮮の小説の主人公。神出鬼没の義賊。

 荒山徹 「鳳凰の黙示録」

 その正体は豊臣秀頼

李夢龍 (イ・モンニョン)

 朝鮮の説話・春香伝に登場する。暗行御史として卞府使の悪事を暴いて彼を罰し、恋人春香を救出する。

 荒山徹 「魔岩伝説」

 朝鮮の娘・金春香が遠山景元につけた偽名。

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