松月時代

大正2年

 金田一耕助、誕生。

昭和6年

 中学を卒業し同窓の風間俊六とともに上京。(「黒猫亭事件」)

 同郷の大学の先輩に誘われて(引っ張られて?)丹頂会に入り、佐野川鶴之助と知り合う。(「幽霊座」)

昭和7年

 渡米。(「幽霊座」)当時は禁酒法の時代で麻薬が流行。金田一もその風潮に染まった。(「病院坂の首縊りの家」)

 アメリカ放浪時代。日系の俳優ジャック安永と知り合う。(「女の決闘」)

 サンフランシスコの日本人街で起こった奇妙な殺人事件を解決し久保銀造と知り合う。これをきっかけに麻薬を卒業し、銀造の援助を受けて三年かけてカレッジを卒業。(「本陣殺人事件」)

昭和10年頃

 帰国。岡山の銀造を訪ね、出資を受け東京で探偵業を始める。

 半年ほどして全国を騒がせた某大事件を解決し新聞に名前が載る。(「本陣殺人事件」)これを見た鶴之助からの電話で交流が再開する。(「幽霊座」)

昭和11年

7月 鶴之助の依頼で篠原アキの行状を調査する。(「幽霊座」)

8月25日 稲妻座の夏興行で鶴之助の失踪を目撃する。2、3の事件に成功して天狗になっていた彼の鼻が折られる事になる。(「幽霊座」)

昭和12年

一月頃 伊東慎作の転落現場に居合わせる。(「七つの仮面」事件)

 事件の真相を看破。真犯人は縊死する。(「七つの仮面」事件)

 大坂の方で難しい事件を片付けて銀造宅へ骨休めに来る。「かなり大袈裟なものだったらしく、警保局かなんかのお役人から身分証明書のようなものを貰って」いた。(「本陣殺人事件」)

11月27日 銀造の電報に呼ばれてくる。(「本陣殺人事件」)

 28日 一柳家妖琴殺人事件を解決。(「本陣殺人事件」)

 事件が新聞に載る。恐らくは岡山の地方紙であろう。鬼頭千万太は新聞で読んだらしい(「獄門島」)が、本陣殺人事件の作者は疎開先で初めて知ったらしいので。

* 金田一の軍歴:最初の二年間は大陸にいて、その後南の島へ送られて終戦時にはニューギニアにいた。(「獄門島」)

昭和18年

01/02 ニューギニアのブナで日本軍が玉砕する。

 部隊の編成替えで鬼頭千万太と知り合う。その後終戦まで目立った戦闘は無く、敵は飢餓と疫病であった。(「獄門島」)

昭和21年

8月 復員船の中で戦友鬼頭千万太を看取る。(「獄門島」)

9月始め 佐伯一郎と会い、事件の謎を解く。(「百日紅の下で」)

 久保銀三を訪問。獄門島行きについて忠告される。(「獄門島」)「本陣殺人事件」の小説を紹介され、雑誌社に問い合わせる。(「黒猫亭事件」)

9月下旬 獄門島に渡る連絡線で了然和尚と知り合う。(「獄門島」事件)

10月10日 獄門島を去る。(「獄門島」事件)

秋の終わり 獄門島よりの帰路、岡山に疎開中だった「本陣殺人事件」の作者を訪問し「獄門島」事件を語る。(「黒猫亭事件」)

 本位田家の事件調査を行い、犯人と接触する。(「車井戸はなぜ軋る」)

 東京への帰路、車中で旧友風間俊六と再会。(「黒猫亭事件」)

 復員後、銀座裏の怪しいビルディングの最上階に探偵事務所を開く。(「女怪」)

11月半ば 糟谷六助の依頼でエビス屋百貨店の二重殺人事件を調査する。(「黒蘭姫」事件)

12月 本位田家の犯人自決。遺書を金田一に送る。(「車井戸はなぜ軋る」)

昭和22年

 探偵事務所を三ヶ月ほどで閉め、旧友風間の二号が経営する大森の割烹旅館に転がり込む。(「女怪」)

3月 キャバレー・ランターンでの二重殺人事件で等々力警部と知り合う。(「闇の中の猫」事件)

3月26日 風間俊六より黒猫亭の殺人事件について調査を頼まれる。(〜30日「黒猫亭事件」)

 「黒猫亭事件」の解決後、Yさんに手紙と事件資料を送る。

4月半ば 亀井家より事件の再調査を依頼され、八代竜介と接触する。(「殺人鬼」事件)

秋 某アパートに潜入して殺人事件を解決する。(「蝙蝠と蛞蝓」事件)

9月28日 椿美弥子より依頼を受ける。(「悪魔が来たりて笛を吹く」事件)

10月2〜5日 椿元子爵の行動調査のため明石方面へ出張。久保銀三と磯川警部に手紙を出す。(「悪魔が来たりて笛を吹く」事件)

 5日 新宮氏殺害の報せを受けて夜行で東京へ引き返す。6日朝着。(「悪魔が来たりて笛を吹く」事件)

 10日 磯川からの返信を受け取り、悪魔の正体を確信する。(「悪魔が来たりて笛を吹く」事件)

10月11日 河村治雄自害。数日後遺書が発見される。(「悪魔が来たりて笛を吹く」事件)

昭和23年

5月6日 仙石鉄之進氏より依頼を受けて古神家の旧領岡山県鬼首村へ向かう。途中仙石直記・屋代寅太と行き会う。(「夜歩く」事件)

 8日 犯人墓穴を掘る。(「夜歩く」事件)

 西屋の野村荘吉から弟森達雄の死について調査を依頼される。(「八つ墓村」事件)

6月10日過ぎ 八つ墓村へ入る。(「八つ墓村」事件)

事件解決(=8月末)まで滞在。(「八つ墓村」事件)

9月始め 「先生」と共に伊豆のNへ静養。(「女怪」事件)

9月半ば 岡山に磯川警部を訪ね、湯治に誘われる。(「人面瘡」事件)

 17日(旧暦8月15日中秋名月) 湯治中の温泉で殺人事件が起こる。(「人面瘡」事件)

 岡山よりの帰路、磯川警部より野口慎吾の告白書を見せられ東京での追跡調査を頼まれる。(「死仮面」)

10月始め 伊豆のNを再訪し持田氏の死因を調査。「先生」に絵はがきを送る。(「女怪」事件)

10月半ば 銀座三角ビルの金田一探偵事務所にて上野里枝より調査依頼を受ける。(「死仮面」事件)

昭和24年

 虹子の店のマダムに関する調査終了。真相にショックを受けて都合二ヶ月ほど北海道を旅行、先生に手紙を送る。(「女怪」事件)

8月 軽井沢で避暑。立花滋少年と知り合う。(「大迷宮」)

9月 篠崎慎吾の醜聞を新聞で知った風間から疑念を聞かされる。(「迷路荘の惨劇」事件)

10月18日 (ひっかかっていた事件を大急ぎで片づけると)若林豊一郎氏の依頼で那須に向かう。湖で溺れた野々宮珠世を救うため部屋を離れている間に若林氏は殺されていた。(「犬神家の一族」事件)

11月上旬 (休養のため西上)磯川警部に誘われて山奥に湯治に向かい事件に遭遇する。(「鴉」事件)

12月15日 真犯人を指摘し、その告白を引き出す。(「犬神家の一族」事件)

昭和25年

春 迷宮島で金塊を発見。怪獣男爵は行方知れず。(「大迷宮」)

 避暑かたがた伊豆半島を旅行。S村の山海寺に二週間ほど逗留。(「燈台島の怪」)

 神戸で王文詳を救う。「迷路荘の惨劇」で、「ここしばらく風間とは会っていない」とあるのはこの出張の所為であろう。(「悪魔の百唇譜」)

 関西の海辺で病気療養。帰京後、金色の魔術師を捕らえる。(「金色の魔術師」)

10月18日(日) 篠崎より消えた片腕の男の捜索を依頼される。風間からの意見を入れて依頼を受諾。富士駅から既知の速見譲治の操る馬車に乗って名琅荘に入る。(「迷路荘の惨劇」事件)

 19日 帰京のため富士駅へ行くが、天坊の死体が発見されたため引き返す。(「迷路荘の惨劇」事件)

 20日 捜査陣に事件の顛末を説明する。(「迷路荘の惨劇」事件)

11月26日 尾形静馬の墓の除幕式に参列。警察も知らない最後の真相を確認する。(「迷路荘の惨劇」事件)

昭和26年

5月上旬 立て続けに厄介な事件(不明)を片付けて休養を取ろうと思っていたが、加納弁護士よりの依頼を受けて月琴島へ渡る。(「女王蜂」事件)

 23日 松籟荘にて第一の殺人事件。(「女王蜂」事件)

 30日 金田一、大道寺家よりの帰り道で何者かに襲われる。(「女王蜂」事件)

6月6日 第二の殺人。(「女王蜂」事件)

 中旬 大道寺欣造氏、継娘の家庭教師・神尾秀子に殺害される。(「女王蜂」事件)

 立花滋少年と共に伊豆S村を再訪。燈台島に隠された金塊を発見する。(「燈台島の怪」)

7月10日 難しい事件をひとつ片付けて(「女王蜂」事件と考えていいだろう)ほっと一息ついているところへ矢部杢衛よりの依頼状が届く。かつて信州で手がけた事件に関係した、さる信頼すべき人物(「犬神家の一族」で登場した加納弁護士か)の紹介状付き。(「不死蝶」事件)

 15日 前の事件の残務整理(想像をたくましくすれば智子と連太郎の婚儀があったかも)を終えて東京を発つ。その朝に謎の脅迫状を受け取る。(「不死蝶」事件)

 16日 玉造家でパーティ。マリの母君江を探して鍾乳洞を探索中、矢部杢衛が刺殺される。君江の消息は不明。(「不死蝶」事件)

 22日 鍾乳洞の大捜査。古林徹三殺害。(「不死蝶」事件)

 23日 金田一、マリの指紋を採り彼女の秘密を知る。(「不死蝶」事件)

 25日 マリよりの返信。矢部峰子、洞窟内で殺害され、兄宮田文蔵遺書と共に自殺。(「不死蝶」事件)

 金田一、帰京。(「不死蝶」事件)

9月某日 金田一、マリに招かれて帝国ホテルを訪れ、23年前の事件の真相を解き明かす。(「不死蝶」事件)

* 大坂の方の事件が思いのほか早く片付いて岡山へ足を伸ばす。(「首」事件)

10月23日 磯川警部と共に湯治。翌日事件に遭遇する。(「首」事件)

この年 殺人事件に巻き込まれた多聞修を救う。

昭和27年

3月 古舘博士の婿選びを見学。博士の娘早苗の求婚者の一人が矢で刺されて死亡する。容疑者と目される駒田順、失踪。(「死神の矢」事件)

4月 警視庁を訪ね第二の殺人を知る。駒田順を発見。彼のアリバイが証明し容疑を晴らす。(「死神の矢」事件)

4月下旬 三田文代の追悼公演。第三の殺人。犯人、目的を遂げて自殺。(「死神の矢」事件)

7月下旬 日本橋の某百貨店の浮世絵展で、旧知の佐野川紫虹(当時は雷蔵)と再会。(「幽霊座」事件)

8月2日 稲妻座の8月興行初日。金田一、鶴之助の忘れ形見喜久雄(現雷蔵)と会う。毒に倒れた雷蔵に代わり舞台に立った紫虹、殺害される。犯人の自害により事件終結。(「幽霊座」事件)

9月3日 死仮面の主と目される緒方辰男の生母(本橋加代)よりの依頼を受けて調査開始。等々力警部を訪ね古川が造った死仮面を見る。(「生ける死仮面」事件)

9月15日 辰男の死体の最後の部分の隠し場所を発見し事件を解明する。(「生ける死仮面」事件)

10月8日 大坂まで来たついでに磯川を訪問し出張先まで押し掛ける。(〜10日「湖泥」事件)

11月2日 天命堂病院の死体盗難事件に興味を抱く。(「睡れる花嫁」事件)

 6日 盗まれた死体が警官殺しという事件を伴って発見される。等々力警部を訪ねて事件に関与。(「睡れる花嫁」事件)

この年 金田一、相馬良作を事件の容疑から救う。この一件で岡戸竜太郎にすごまれるも、その見事な刺青に見とれて効果無し。

昭和28年

1月10日 事件に関する重要情報を等々力警部に提供。(「睡れる花嫁」事件)

3月5日 銀座三星堂百貨店の防犯博覧会にて畔柳博士の復元した死体が一般公開される。 金田一、公開初日に招待される。(「蝋美人」事件)

 伊沢早苗の婚約者雄島隆介より調査依頼。(「蝋美人」事件)

 等々力警部を訪ねて事件の詳細を掴み軽井沢へ調査に出発すると直前、畔柳博士の死体が発見されたと連絡を受ける。(「蝋美人」事件)

 畔柳邸を調査し、伊沢家から消えたオルゴールと、その中にあった重要証拠を発見。(「蝋美人」事件)

5月12日 石膏美人事件の調査を始める。等々力警部に同行して第二の犠牲者を発見。(「堕ちたる天女」事件)

24日 容疑者と目されている杉浦の同情者清水隆一画伯より重要なヒントを得て、磯川警部に手紙を送る。(「堕ちたる天女」事件)

28日 目撃者の少女の貴重な証言。上京してきた磯川警部を等々力警部に引き合わせる。三日かけて発見した杉浦陽太郎と目される死体の情報を贈り物として事件より身を引く。(「堕ちたる天女」事件)

5月末 ふらりと信州那須を訪れる。橘署長の紹介でT高原を訪れる。朝倉加寿子の殺人事件に関与。(「廃園の鬼」事件)

6月 植村欣之助より「野方霊媒殺し」事件の調査を依頼されたと思われる。(「迷路の花嫁」事件)

6月10日頃 奈津女を連れた松原を尾行する。翌日、鶴牧で彼と接触。(「迷路の花嫁」事件)

7月 高輪署管内の殺人事件に関して助言を与える。(「病院坂の首縊りの家」事件・上)

8月21日 法眼弥生より由香利の捜索と犯人である天竺浪人の正体についての調査を依頼される。(「病院坂の首縊りの家」事件・上)

8月29日 由香利の帰宅により調査依頼がキャンセルされる。(「病院坂の首縊りの家」事件・上)

9月4日 銀座からの帰り道、偶然に法眼由香利を目撃。(「病院坂の首縊りの家」事件・上)

9月7日 本條直吉の訪問を受ける。法眼邸で成城の先生と遭遇し、資料を預ける。多聞修と怒れる海賊達のライブを見る。帰宅後、部屋が荒らされているのを発見。(「病院坂の首縊りの家」事件・上)

9月20日 本條徳兵衛に報告書を渡し、残りの謝礼金を受け取る。その後、高輪署の打ち上げに参加。法眼邸での生首発見の報を受ける。(「病院坂の首縊りの家」事件・上)

9月25日 小雪の遺書の写しを弥生に見せ、ひとまず事件は収まる。(「病院坂の首縊りの家」事件・上)

10月半ば 他に手の抜けない用件(法眼家の事件と推定される)が片付いて、レッドフラワーで松原と遭遇。(「迷路の花嫁」事件)

10月半ば 滝川恭子が持ち去っていた事件の凶器を欣之助から入手。犯人に接触して自首を迫ろうとする矢先、松原が建部多聞に襲われた現場に行き会わせる。(「迷路の花嫁」事件)

 昏睡から覚めた松原から事件の真相を引き出す。(「迷路の花嫁」事件)

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