夜歩く・八つ墓村

 どちらも記述が金田一視点でない(登場人物の一人称)ので、詳細に書くとすぐにネタバレになる。

 金田一耕助 屋代寅太 仙石直記 寺田辰弥 森美也子

永禄9年

7月6日 雲州富田城開城。これを肯んじなかった若武者が七騎の近習を従えて落ち延びる。

永禄10年

半年後 毛利方の詮議を恐れた村人が尼子の落ち武者を襲うが、彼らが隠し持っていた黄金の行方は不明。

半年後 名主多治見庄左衛門、大木への落雷をきっかけに逆上して暴れる。この時亡くなったのは本人を含めて8人。

 村人は祟りを恐れて落ち武者の首を丁重に埋葬。これを八つ墓明神と崇める。

 

江戸末

 古神家領内で百姓一揆。代表4名が江戸へ直訴し、法度によって打ち首となる。四人衆様と呼ばれて祀られる。

 古神家家老仙石某、罪を一身に受けて切腹。古神家改易を免れる。

明治初年

 古神家、家老仙石某(直記の曾祖父)の手腕により資産を築く。

明治末年

 父、鬼首村を飛び出して東京に出る。

大正2年(寅年)

 誕生、寅年なので寅太と命名される。

 古神家家老・仙石鉄之進の長男として誕生。

大正4年

 古神織部子爵の嫡男守衛誕生。

大正9年

 第一次大戦終結後の大不況。古神家は直記の父鉄之進の手腕で事なきを得る。

大正10年

 要蔵、鶴子に横恋慕。これを妾とする。

大正11年

9月6日 辰弥生誕。(臍の緒書きより)

大正12年

4月下旬 八つ墓村で多治見要蔵の32人殺し。

 里村典子、誕生。騒ぎの所為で八ヶ月の早産であった。母親は間もなく死亡。

 寺田虎造の子として入籍。

大正13年

 織部の妾お柳、娘八千代を生み、正妻になおる。但し、織部の種でないのは公然の秘密となっている。

 八千代、「佝僂には成らぬが、佝僂と結婚する」と予言される。

昭和2年

 7歳の時、母鶴子死亡。翌年養父虎造、後添えを貰う。

昭和某年

 某私立大学の文科で仙石直記と知り合う。同郷のよしみで経済的援助を受ける。 

昭和11年

3月7日 古神子爵死去。

昭和×年

 商業学校を卒業。養父と衝突して家出。

昭和16年

 21歳で応召。

昭和18年

 夫森達男(東屋・野村荘吉の実弟)が死亡。(太平洋戦争の三年目)未亡人になった美也子、海軍少佐里村慎太郎との再婚が噂される。

昭和20年

3月? 焼け出され八つ墓村へ疎開する。(東京に住んでいたらしいので、東京大空襲によると思われる)

8月15日 終戦。

 里村慎太郎、郷里八つ墓村へ戻り百姓を始める。

昭和21年

 復員。養父は爆撃ですでに死亡。養母や弟妹も行方知れず。

昭和22年

夏頃 守衛、過って銃で太股を傷つける。家人に知られないように処置する。

 お喜多、ピストルを取り上げて隠すが、いつの間にか無くなっていた。

夏頃 八千代、怪文書を受け取る。

10月3日 佝僂の画家蜂屋小市と銀座で行き会う。蜂谷はその後行ったキャバレー「花」にて謎の女(古神八千代)に撃たれる。

 お喜多、作州の奥(恐らく故郷の鬼首村)へ追いやられる。

昭和23年

春 久野医師、鞄を盗まれる。(濃茶の尼の死後、その贓品の中から発見される)

3月初 蜂屋、八千代の招きで古神邸へ逗留。

 5日 離れに隠していた女性をどこかへ移す。

 6日 直記に相談を持ちかけられる。

 7日 古神邸へ足を踏み入れる。

 古神織部の13回忌。故人を偲ぶお柳未亡人に機嫌を損ねた鉄之進が酒乱を起こして蜂屋を襲う。(何者かが隠してあった刀を押入に潜ませる)

 直記と共同で刀を金庫に仕舞う。直記が合い鍵を、寅太が符号を決め、二人揃わなければ取り出せない筈なのだが…。

 夜、八千代の夢遊病を目撃。

 8日 古神邸で佝僂の首無し死体が発見される。太股の弾痕から蜂屋のモノとして処理される。

 事件を隠そうとする直記を説得して警察を呼ばせる。その日の夜、一旦下宿へ帰る。

 9日 昼頃古神邸へ戻る。解剖を終えた死体が戻り、通夜が行われる。

 11日 上京してきたお喜多の証言で守衛にも股に弾痕があったことが分かり、死体の特定は振り出しに戻る。

 14日 八千代から蜂谷への銃撃が守衛から吹き込まれたモノだと告白される。

 その夜、鉄之進の夢遊病を目撃。その歩いたコースから守衛の生首を発見する。

 八千代、古神邸から逃げ出す。

3月末 八つ墓村の双生児杉の一本が落雷で焼ける。

4月20日 鉄之進、帰郷のため東京を発つ。お柳様と古神四方太も同行。

 父の求めで小間使いのお藤を鬼首村へ送り届ける。

 末頃 海勝院に寄進。院主にお静を預かって欲しいと依頼。 

5月1日 帰京して屋代を村へ誘う。本人は翌日にとんぼ返り。(恐らくこの時にお静を伴っていたのであろう)

 2日 夜に鬼首村へ到着。行方知れずだった八千代が部屋で眠っているのを見つける。

 4日 お静を海勝院に届ける。謎の佝僂が村の近くに徘徊。

 5日 お静、謎の佝僂に連れられて海勝院より失踪。

 6日 直記に遅れて鬼首村へ出立。姫新線のK駅(恐らく勝山)で直記と合流。

 鉄之進氏よりの依頼で鬼首村へ向かう。寅太を迎えに来た直記の牛車に同乗。直記と寅太に気を遣って途中下車。

 鉄之進、刀を抜いて暴れる。父から刀を取り上げて寅太に預ける。 

 刀をもってさまよい出る八千代を目撃。直記と共に八千代を捜索。稲光の閃光の中、佝僂の姿を目撃。

柳王の滝の近くで首無しの女の死体を発見。

 7日 駆けつけた警察より母屋で事情聴取を受ける。一人蚊帳の外に置かれていた寅太に素性を空かし協力を求める。竜王の滝で犯人の遺留品(偽装道具)を発見。寅太を伴って海勝院を訪ね、直記が預けた女性について質問。

 古神邸に戻った後、遺留品について直記に質問するもとぼけられる。

 お藤の偽証を看破して、首無し死体が蜂屋のモノである事を突き止める。

 8日 磯川警部現場入り。古神邸における事件のあらましを解く。興奮した鉄之進の急死で推理が中断される。部屋に下がった後手記の続きを書き上げる。

 直記と寅太の最後の対決を見届ける。

 寅太の手記を見つけ、その結末を付けさせる。(しかる後にY氏の元へ送ったのであろう)

 

 野村荘吉より実弟の死についての調査を依頼される。

5月25日 ラジオの人捜しで諏訪弁護士を訪ねる。

 辰弥の身辺を探る謎の男。後にそれが麻呂尾寺の英泉だと知れる。

6月10日(16日目) 謎の警告状を受け取る。諏訪弁護士の事務所で母方の祖父井川丑松と対面。

 丑松仕込まれた毒で死ぬ。

 中旬(10日余り) 多治見家よりの依頼で神戸に出張。

 この間に美也子から出生にまつわる諸事情を聞かされる。

 丑松の毒殺により滞在を延長。

 25日 美也子の案内で八つ墓村へ向かう。伯備線のN駅(恐らくは新見)で降りてバスで一時間、徒歩で半時間。

 26日 異母兄久弥との対面。久弥、その席上で死亡。本格的に事件への関与を決意する。

 27日 久弥と丑松の葬儀で施主を勤める。美弥子の紹介で辰也と会見し、彼に警告を与える。(県警に連絡して検視を求めたのは恐らく彼であろう)

 29日 検死の結果、久弥は丑松と同じ服毒死と判明する。

7月2日 美弥子と連れだって八つ墓明神を詣でる。二時より久弥の初七日。彼が運んだ膳を食した蓮光寺の洪禅が亡くなる。麻呂尾寺の英泉、自分を狙ったのだと辰弥を糾弾する。N町に詰めていた磯川警部らが駆けつける。大伯母達からお茶(恐らく睡眠薬入り)を飲まされる。

 3日 自分の秘密を知ると言う梅幸尼を訪ねる途上、濃茶の尼に絡まれて美也子に助けられる。そのまま美也子と共に慶勝院のを訪れ、梅幸尼の死体と一連の殺人計画と思しきメモ書きを見つける。メモを見て洪禅殺しの謎に得心がいく。検屍に訪れた久野医師、メモ書きを見せられて激しく動揺する。

 夜:抜け穴から鍾乳洞へ入り滝の出口で里村の典子と出会う。濃茶の近くで典子の兄慎太郎を目撃する。

 4日 春代より濃茶の尼の殺害と、久野おじの失踪を知らされる。

午後、辰弥を表敬訪問。濃茶の尼の事件に関して久野のアリバイを語る。

 夜:洞窟で典子と会いそのまま探検。大伯母達が祀っていた謎の鎧武者を発見。来合わせた姉春代の証言でそれが要蔵の死体だと知る。

 十日間 熱を出した春代の看病をする。

 要蔵の死体を再調査。それが屍蝋化している事を確認する。同時に大判を発見しその探索に意欲を燃やす。

 15日 辰弥を訪問。前回に語った久野医師のアリバイが崩れた事を知らせる。

 春代の譫言で疑念を抱いた大伯母達に例の薬を飲まされる。小梅様、洞窟で何者かに攫われる。逃げ帰ってきた小竹様の懇願で小梅様を探しに出る。彼を探していた典子と猿の腰掛けで合流。地図を持って追ってきた春代と共に奥へ進み、木霊の辻で英泉の姿を見る。

 翌日 駐在所に小梅様の失踪を届け出る。洞窟の捜査に加わり、鬼火の淵で小梅の死体を見つける。現場近くで久野医師の帽子が見つかる。洞窟狩りを強く進言。

 翌日 慎太郎と典子がお悔やみに来る。典子から英泉が容疑者として拘引されたと聞く。

 (恐らく英泉の尋問に参加。英泉の釈放に何らかの影響を与えたと思われる)

夕方(無事釈放された)英泉の読経により小梅様の葬式を無事終える。疎遠だった慎太郎との関係が改善する。

 翌日(青年団による洞窟狩りも三日目) 辰弥を訪問。洞窟狩りの状況を説明し、参加を持ちかける。

 N署に辰哉を犯人と告発する手紙が舞い込む。

 その夜、母と恋人亀井陽一との書簡を見つける。

 翌日 洞窟狩りに参加。(青年団は洞窟狩りをボイコットする)

 狐の穴で久野医師の死体を発見。失踪後間もなく死んだモノと思われる。

 経師屋を呼び寄せて屏風を解体、中から亀井陽一の写真を発見。自分に瓜二つであることに驚愕する。

 某日(自分の出生の秘密を知った翌日) 煽動により激発した村人の襲撃を受けて抜け道から鍾乳洞へ逃げ込む。村人の会話から美也子の変心を知る。

 洞窟の中で犯人に襲われた春代を看取る。村人達に見つかり、再び奥へ追い込まれる。

 典子から貰った凧糸で洞窟の探索を行う。

 麻呂尾寺の長英を訪問して村人の説得工作を依頼する。

 長英の説得に不服だった暴動の頭目二人に襲われるが、典子の機転で逃走。落石に救われるが典子と二人は出口を失い閉じこめられる。

 はったりにより犯人の自白を引き出す。犯人の依頼で諏訪弁護士に電報を打つ。

4日後、典子と共に無事救出される。

 同日 春代によって小指に傷を負った犯人が息を引き取る。

 救出から1週間 麻呂尾寺で実の父亀井陽一と対面する。

 春代の35日(8月末頃?) 多治見家の離れを借りて事件の謎解きを行う。漸く回復し犯人の死を知らされる。典子との婚約と洞窟で発見した大判を披露する。

 多治見家の相続を辞退。多治見家を継ぐ事になった慎太郎は、辰弥と典子の二番目の男子を養子として多治見家を継がせたいと申し出る。

 春代の百か日(の数日前) 典子より妊娠を告げられる。

 春代の百か日を済ませて神戸に発つ。

 八つ墓村を去って8ヶ月 手記を書く。

年譜→昭和23年