迷路荘の惨劇

 短編から中編(この時点では「迷路荘の怪人」)、そして長編へと三段階に改稿されたモノ。その為、これより後に起こった「女王蜂」事件に言及されるなどの些細なミスもある。

 執筆時期を見ると直前の「仮面舞踏会」直後の「病院坂」はいずれも中断・未完作品であった。

 古舘伯爵 篠崎慎吾 速水譲治

明治45年

 維新の功臣古舘種人伯爵死去。享年68才。一子一人が爵位を継ぐ。

 種人伯の妾お糸、名琅荘の管理を任される。

大正年間

 一人、柳町子爵の娘加奈子と再婚。

昭和2年

 昭和恐慌のあおりを受けて親族によって古舘家の財産整理が行われる。

昭和3年

 古舘家二代目一人伯、名琅荘へ移り住む。

昭和5年

10月20日 嫉妬で逆上した一人伯が加奈子夫人を斬り殺す。また尾形静馬の左腕も切り落とすが静馬に返り討ちとなる。静馬、裏手の洞窟に消える。

 後の糸女の談によると、先妻の子辰人が加奈子夫人に横恋慕してはねつけられたのを恨んで二人の仲を誹謗中傷したらしい。

昭和6年

 横浜で生まれる。父はアメリカ人のマドロス。

昭和17年

暮れ 加奈子夫人の弟柳町善衛子爵、徴兵。

昭和20年

春 大空襲で母を失う。

 終戦時陸軍大尉。軍需物資を格安で売りさばいて財を成す。

昭和21年

 横浜駅で風間の鞄に手を出して捕まった事が縁で彼のもとで世話になる。松月の金田一の元へも何度か使い出される。当時は栄養状態も悪かったのか、まだ華奢な印象であった。

昭和22年

秋 柳町善衛復員。なつかしの名琅荘を訪問。

昭和23年

 抵当流れになっていた名琅荘の土地屋敷を入手、ここから元の持ち主である古舘夫妻と縁が出来る。倭文子の美貌と家柄をアメリカ人相手の折衝に利用する。

昭和24年

9月 倭文子との醜聞が新聞に書かれる。(密通現場を古館辰人に押さえられ多額の代償と共に倭文子を買い取る)

昭和25年

7月 風間の紹介で篠崎の元で働く。それ以前に東京のTホテルで一年ほど見習い修行をして高い評価を受けている。

 金田一、神戸出張。

10月16日(金) 真野信也と名乗る片腕の男が篠崎慎吾の名刺を持って名琅荘に現れ、部屋の抜け穴から姿を消す。

 17日(土) 天坊元子爵や柳町元子爵、名琅荘に到着。

 18日(日) 金田一を馬車で迎えに出る。

 古舘辰人殺害され、金田一の乗ってきた馬車の上で見つかる。

 19日 天坊邦武元子爵の死体が見つかる。金田一、東京へ戻らず富士駅から引き返す。行方不明のタマ子を探して洞窟探検。タマ子の死体と倒れる陽子を見つける。

 20日 犯人が死亡して一応事件は終わる。

 名琅荘に籠もって緒方静馬の墓作りに没頭。

11月26日 尾形静馬の墓の除幕式。

年譜→昭和25年