犬神家の一族(鴉)

 登場人物の年齢から24年は確定なのだが、作者が犯人を決めずに行き当りばったりで書いた為に様々な矛盾がある。書式を他の作品とそろえた上で、初稿で書いたツッコミを加筆して別稿に纏める。

 金田一耕助の動き

明治18年

 犬神佐兵衛十七歳。野々宮大弐・晴世夫妻に保護される。

 佐兵衛と大弐の間に衆道の関係ができ、晴世が一時別居する。

明治19年

 佐兵衛、大弐の周旋で製糸工場に勤める。

明治20年

 佐兵衛、大弐より資金援助を受けて独立。

明治21年

 佐兵衛と晴世に関係ができる。心中を図るも失敗し、大弐の公認の元で関係が続く。

 佐兵衛と晴世の間に一女祝子が生まれる。大弐、自分の子として入籍する。

明治44年

 野々宮大弐没。享年68歳。

 野々宮祝子、佐兵衛の斡旋で婿を取る。

 

大正10年

春 犬神佐兵衛長女松子、一子佐清を産む。

 青沼菊乃、犬神佐兵衛の息子静馬を産むが、佐兵衛の三人の娘に脅されて姿をくらます。

 菊乃、富山の親戚に静馬を託す。静馬、津田姓で入籍。

大正11年

春 佐兵衛三女梅子、幸吉と結婚。

 佐兵衛次女竹子、長男佐武を産む。

大正12年

 梅子、一子佐智を産む。

大正13年

 野々宮祝子、一女珠世を産む。(晴世は既に死去)

昭和3年

 竹子、長女小夜子を産む。

昭和某年

 珠世(はたち前)、父母を失って犬神家に身を寄せる。

昭和18年

 犬神佐清(二十三歳)出征。那須神社に手形を残す。

昭和19年

 津田(青沼)静馬、出征に際して生母菊乃と親子の名乗りを交わす。その際に実父の話を聞かされる。

昭和20年

8月15日 終戦。内地勤務だった佐武、早々に任務解除となる。

11月 猿蔵、台湾より復員。

昭和22年

 宮川香琴、琴の師匠として犬神家に通うようになる。

12月 改正民法(いわゆる新民法)公布。翌一月より施行。

昭和24年

2月18日 犬神佐兵衛没。

9月 犬神佐兵衛伝刊行。

10月 犬神松子、博多に復員してきた佐清を迎えにいく。松子親子、東京の別邸に入ったまま動かず。

10月18日 (ひっかかっていた事件を大急ぎで片づけると)若林豊一郎氏の依頼で那須に向かう。湖で溺れた野々宮珠世を救うため部屋を離れている間に若林氏は殺されていた。

10月19日 若林氏の上司、古舘恭三弁護士の訪問を受ける。

11月1日 犬神松子、佐清を伴って那須本邸に戻る。

 犬神家の遺言状公開に立ち会う。

 磯川警部に誘われて山奥に湯治に向かい事件に遭遇する。(「鴉」事件)

 15日 佐清の手形を取りに行く為に諏訪神社へ同行する。

 仮面の佐清、手形の照合を拒否。

 山田三平と名乗る復員者が柏屋に逗留。

 16日 古舘弁護士に呼ばれて犬神家へ向かい、佐武の生首を見る。

 佐清、手形の照合を受諾。本人と確認される。

 25日 佐智、珠世に対して実力行使にでて「影の人」に阻止される。

 26日 豊畑村で佐智の死体を検分する。

 三姉妹、青沼菊乃に対する旧悪を告白する。

 大山神主、珠世の素性の秘密を暴露する。

12月13日 仮面の佐清の死体発見。名乗り出た青沼菊乃と対面。

 佐清、犬神家に現れて珠世を襲う。

 14日 佐清を追って山狩りに同行。

 15日 真犯人を指摘し、その告白を引き出す。

年譜→昭和24年