荒山時空解析室
企画稿「時代小説とRPG」において展開した荒山作品の考察を独立企画として分離しました。
以下の分類はあくまでも個人的なものであってオフィシャルでないことをあらかじめお断りしておきます。
荒山作品オリジナルヒーロー(一応実在人物ですが)幸徳井友景が朝鮮妖術師の侵攻と戦う英雄伝奇作品群。荒山時空のメインルートと言えます。
嫌韓に加え反キリシタン的要素を持つ。
「柳生陰陽剣」 新潮文庫
旧題「柳生雨月抄」。魔法剣士柳生友景の活躍。
「柳生薔薇剣」 朝日新聞社→朝日文庫
「柳生忍法帖」への壮大なオマージュ。
「柳生百合剣」 朝日新聞社→朝日文庫
続編。こちらは「魔界転生」へのオマージュ?
「柳生黙示録」 朝日新聞出版
三部作完結篇。「柳生十兵衛死す」になるかと思ったら、石川賢版「魔界転生」でした。
「竹島御免状」 角川書店 文庫化
友景の死後、その曾孫友信と十兵衛の最後の戦い。
柳生家のご先祖様通称悪十兵衛が朝鮮神話の誕生に関わると言う逆韓国起源説史観を持つ。友景サイクルが嫌韓なら、こちらは親韓といえる。
「忍法さだめうつし」 祥伝社文庫
元寇から朝鮮建国までの日朝暗闘史。
タイトルとなった忍法「さだめうつし」は皇女だけが使える特殊なもの。一方、他の作品にも登場する朝鮮の妖術師・安巴堅が登場。あの処刑御使誕生の誕生秘話が語られます。
「高麗秘帖」 祥伝社文庫
朝鮮陣を巡る日朝の暗闘史。「沙也可=阿蘇宮越後守説」等から消去法で大戦争サイクル。
「石田三成」 講談社 → 「柳生大作戦」上下 講談社文庫
百済再興を目論む百済党。その百済党の野望を阻止すべく歴史の影で動いてきた柳生一族。その最後の戦い。百済の妖術師としてあの安巴堅も登場する。
文庫化に際して連載時のタイトルに戻したようです。
「徳川家康」 上下 実業之日本社 文庫化
隆慶一郎の代表作「影武者徳川家康」へのオマージュ。関ヶ原後に家康を演じる影武者元信が実は韓人。元ネタとは逆に韓人故に豊臣の滅亡を目指す偽家康と豊臣家との融和を目指す”白い”秀忠の暗闘が描かれます。
「柳生大戦争」 講談社文庫
「十兵衛両断」とも友景系とも異なる”第三の道”。時代の異なる二人の十兵衛が戦う「柳生十兵衛死す」のオマージュ作品。それにしても、神後伊豆の”正体”には吹いた。
「処刑御使」 幻冬舎文庫
過去に遡ってあらかじめ敵を除く、いわばターミネーター作戦。妖術であるが故に、術者が死ぬと「すべて無かったことになる」と言うある意味ご都合主義な点が面白い。
長編「鳳凰の黙示録」の名を冠したサイクル。中華思想・柵封体制を敵視する史観を持つので、朝鮮への感情は比較的中立的といえる。
「鳳凰の黙示録」 集英社文庫
「龍の文明と太陽の文明」(安田喜憲著)をネタ元にした大坂の陣を巡る秘史。友景サイクルとも大戦争サイクルとも整合しない第三の独立サイクル。
「十兵衛両断」 新潮文庫
初短編集。時空混在。
表題作「十兵衛両断」と「剣法正宗遡源」が鳳凰サイクル。「陰陽師・坂崎出羽守」「太閤呪殺陣」は友景サイクル(の初期先行作品)。「柳生外道剣」は大戦争サイクルから逆十字サイクルへ移動。
「サラン」 文春文庫
短編集。
「忍び秘録」 角川文庫
文庫オリジナル短編集。時空混在。
雑誌(小説新潮)掲載後に単行本化されなかった短篇三作。プラス新作短篇。文庫化を前提に小説野生時代に掲載されたもの。
「十兵衛両断」と繋がる「密書「しのぶもじずり」」と「韓流夢譚」がこのサイクルに属するのは確実。
問題は「服部家秘録」と言う題がついている二作。文庫収録に際して題名をあわせたのだろうけど、その後の服部家の設定が微妙に食い違う。友景サイクルは四代目半蔵の名前が定光となっているのでどちらとも整合しない。
「阿蘭陀くノ一渡海」は沙也可の設定から逆十字サイクル。
「三くノ一大奥潜入」は消去法で大戦争サイクルへ入れる。
逆十字サイクル →年表及び解釈論
反切支丹色を一段と強めた新たな地平。
「魔風海峡」 上下 祥伝社文庫
長編第二作、前作(「高麗秘帖」)と時代が被るけど設定が違う。欽明帝が半島に隠したという黄金を巡る忍者の戦い。再解析により時空移動。
秀吉の征明の動機を聖徳太子の霊統に求めた点が斬新。(二人の名前の類似と太子の息子を守った奴の名前が”三成”であったと言う引っかかり)
「砕かれざるもの」 講談社
実際に読むまでは切支丹モノとは思いませんでした。時系列的には「友を」に先行して、十兵衛の渡欧のきっかけを生んだと見ることができるでしょう。
「友を選ばば」 講談社 → 文庫化「友を選ばば柳生十兵衛」
密命を帯びて海を渡った十兵衛。フランスでかの有名な銃士副隊長と共同戦線を張る。(友景サイクルから移動)
文庫化に当たって、謎の剣士の正体を初めから暴露。まあバレバレでしたが。
「魔岩伝説」 祥伝社文庫
朝鮮と柳生の関係を最初に描いた原点作品。