内挿人名事典 第二の反復

☆ 史実情報・註釈 ★ 架空人物の出典

マロリー,エドワード(ネッド)(1825〜1908,4/12) ◎裏情報◎

 第二の主人公。

 マロリー家の第一子。歩行中に考え事を口に出してしまう癖がある。また、サセックス訛りが強いので友人のハクスリーから発声教師を紹介される。

 同郷のマンテルの支援で学業を修め古生物学者となる。激変説論者。斉一説を唱えるラドウィクは論敵であるが翼竜の飛行可能説には賛同していた。自由貿易委員会からの資金提供を受けワイオミングにて発掘作業を行い雷龍を発見した。そこから”巨獣”マロリーとして知られる。

 ダービー会場でレディ・エイダを暴漢から救った事から様々な攻撃を受けるが、オリファント氏やその紹介を受けたフレーザー警部、また二人の弟ブライアントマスの協力により敵を打ち破る。

 友人のゴドウィン親方に乞われて彼のゼファー号に大金を掛け大儲けするが、この金が論敵ピーター=フォークの関心を引きつけて無用な軋轢を生む。

 オリファントの計らいでモンゴルへ発掘に出かけ、ゴビ砂漠で角竜亜目の卵を発見する。更に65年に大陸移動を発見、晩年は王立協会の会長も務める。

 享年83才とあるから、誕生日は4/12より前であろう。

ファラディ,マイケル (1791,9/22〜1867,8/25)

 王立協会の碩学物理学者。55年のダービーを観戦した。

☆電磁気学の開祖。説明は不用だろう。

コルゲート卿

 産業急進党の有力者の一人。石鹸王。

 機関を動かすのに重要な潤滑剤の研究で財を成したと思われる。本人よりもその製品が良く登場する。

☆アメリカに同名の歯磨き粉会社があるから、そこの創設者であろう。

ブルネル,イザムバード=キングダム(1806,4/9〜1859,9/15)

 バイロンの死後、その地位を受け継いだ。後に英仏海峡横断飛行船にその名が使われた。

☆イングランドのエンジニアで最初の大西洋横断汽船の設計者。

マロリー,トマス(トム)

 エドワードの弟、マロリー家の四男。55年現在、19才。機械技師。

 エドワードの友人でもあるゴドウィンに弟子入りし、55年のダービーを制したガーニー”ゼファー号”の製造に携わる。

 最新型のゼファーに兄ブライアンを乗せて無政府状態のロンドンへ乗り込む。

ゴドウィン,マイクル

 トムの師匠で、マロリー博士の友人。機械工で一級親方。

 55年のダービーを制したゼファー号の製作責任者。職能組合頭のスカウクロフト卿が資金提供を渋ったために、私財まで投じている。

ダグラス,イライジャ

 熟練職人。ゴドウィンの弟子の一人。

チェスタトン,ヘンリー

 二級親方。ゴドウィンの弟子の一人。

 55年のダービー優勝車”ゼファー”号のドライバーを務めた。

マロリー,E=A(1785〜1902)

 サセックスの帽子職人。恐らくマロリー博士の父親。

☆付属の事典に「驚くほど長命だった、ニュー・イングランドの帽子製造業者」とある。彼の一家は何かの事情で大陸へは渡らなかったのであろう。

スカウクロフト,サー・ジョン

 ゴドウィン親方の属する気体職人組合の頭。元は民衆扇動家で、後に急進派に鞍替えした抜け目のない男。

ライエル,チャールズ (1797,11/14〜1875,2/22)

 王立協会で勢力を持つ。

☆地質学者で斉一説の創始者。ダーウィンの師の一人。

マンテル,ギディオン

 禽龍(イグアノドン)の発見者。サセックス出身でマロリー博士の先輩にして恩人。

ハクスリー,トマス=ヘンリー(1825,5/24〜95,6/29)

 マロリー博士の友人。実用地質学博物館の館長を務める。55年に貴族に列せられる。

 マロリーに旅行記を書く様に勧め、記述者としてディズレイリを紹介する。

☆ダーウィニズムの擁護者。不可知論を提唱。

レイナル

 フランス人。55年のダービーに出走したカンパニイ・ジェネラル・ド・トラクシオンの”ヴァルカン”の運転者。

バイロン,エイダ(1815〜1852) ◎裏情報◎

 正式名、ラヴレイス,オーガスタ=エイダ=バイロン女伯爵。

  蒸気王の異名を取るバイロン首相の娘で、機関の女王と呼ばれる。父からは「リトル・ダァ」と呼ばれているらしい。

 ギャンブル好きで多額の借金を抱えている。名士であるため重要なスキャンダルが発生しない様に厳重な監視網が敷かれている。恐喝者が排除された後、フレーザー警部も彼女の親衛隊に組み込まれた。

 彼女が居ないと、バイロンとバベッジを結ぶ線が無くなり、この作品自体が成立しないと言う最重要人物。

☆バイロン男爵唯一の嫡出子だが、彼女が生まれた直後に両親が離婚し、実際に会う事は無かった。世界最初のプログラマーであるという伝説や、賭博必勝法を考案して、解析機関の研究資金に使用とした等という史実上の逸話は作中に反映している。

 史実では結婚歴がある。

シリングフォード

 マロリー博士に科学的ボクシング理論を教える。

ハンセル卿

 55年のダービーの出走車”ゴライアス”号のオーナー。昨年、優勝したのは彼の車であった。

アルバート公(ザクセン=コーブルク=ゴータ公)(1819〜61)

 ザクセン=コーブルク公フランツ・フリードリヒの三男。ヴィクトリア女王の夫君。次兄もポルトガル女王の王配殿下である。

 科学的な事に興味を持ち、急進派エリートとも親しい。趣味は銀板写真。

 実家は婚姻政策により勢力の拡大を狙っている。

☆史実では弟がベルギー王に成っているが。

サマヴィル,レディ・メアリ(1780〜1872)

 自称レディ・エイダの付き添い。「自然諸科学の関連」の著者にして、ラプラスの「天体力学」の翻訳者、産業急進党の秘密の内部組織であると共に国際的宣伝機関でもある光協会の会員。

☆ 夫ウィリアムが王立協会のメンバーで、バベッジやエイダ等とも実際に親交があった。

 史実では40年代に夫の健康上の理由からイタリアへ移住している。作中のロンドンは史実より環境が悪そうなので、既に未亡人に成っているのかも。