科学技術用語集

 作品の根幹を為す用語。

ア行

地下鉄道(アンダーグラウンド)

 蒸気機関車なので、非常に空気が悪い。排気ファンの設置により目立って改善されたとは言うが。

 バベッジ卿は、郵便システムのような圧搾空気による運用を主張している。

 地下鉄工事はローマ時代の遺物や化石の発掘という思いがけない副次効果をもたらした。

機関(エンジン

 蒸気可動式歯車計算機の通称。考案者の名を取ってバベッジ機関とも言う。

 歯車を組み合わせて計算を行うので、動力の強化と供に摩耗という新たな問題が発生した。その為、新素材の研究や潤滑油の研究が盛んである。 

機関術キノカードギア=ヤード比機関解析研究所キノトロープ(蒸気画像)クラッキング受信電信機大ナポレオン番号砲術機関

機関術(エンジンリ)

 機関のハード面のメンテナンスを意味する。これに対してソフト面の運用を行うのがクラッキングである。

 但しこの時代はまだハードとソフトは明確に分業されていないと思われる。

コンパイラジャカルディーヌ協会蒸気知能協会ナポレオン規格

カ行

ガーニー

 自動車の事と思われる。通常は蒸気で動く。

蒸気要塞ゼファー

火事嵐

 巨大な火事によって引き起こされる大気現象。火事の上空で柱状に立ち上る空気が強風を巻き込み、しばしば雨を伴う。

  南北戦争のフィラデルフィアやクリミア戦争のオデッサが有名。

→ 砲術機関

からくり人形

 日本で作られた機械仕掛けの人形。

 マツキコウアン氏がオリファント邸で見せた物は多分外装を生人形にしている。

ギア=ヤード比

 歯車の大きさと回転速度の相関を表し、機関の性能を量る一つの基準となる。中央統計局の機関はヤードではなくマイル比でこれを測ると言う。

機関解析研究所

 その起原はバベッジらがケンブリッジに作った解析数学学会。メンバーが大学を離れたことで一時休止状態になったが、メンバーが次々に王立協会へ加わるとケンブリッジ哲学会として再出発する。機関の研究開発に古くから携わってきた研究組織。

 独自のコンパイラを発表し続けている。

ケンブリッジコンパイラ

気送

 圧縮空気、または局部真空によって急送郵便を管を通して送るシステム。

 作中の想像かと思ったが、実際に53年のロンドンで導入されているらしい。

キノカード

 機関を動かす為のプログラムを記したパンチカード。

 通常は紙製だが、フランスの誇る”大ナポレオン”のためにセルロース製のキノカードが開発されている。

機関術クラッキング

蒸気画像(キノトロープ)

 機関によって制御された動画。これが大衆の娯楽のレベルまで浸透している。これをデザインする技術者をキノトロピストと言う。

 キノトロピストはクラッキングの知識を必要とするが、他に芸術的素養も欠かせない。 

リフレッシュ・レート

恐竜

 産業急進党の政権下で盛んになったロンドンの地下鉄工事で発見され、その後アメリカ大陸で相次いで発掘される。

気力学 

 翼手龍が飛行可能である事を証明するためにラドウィック教授によって構築された理論。

ゼファー

クラッキング

 機関の操作を意味し、これを行うのがクラッカーである。キノカードの作成や、情報の引き出しを行う。

ジャカルディーヌ協会蒸気知能協会

激変説

 聖書をそのままに信じた天地創造説に基づく学説。地表面の変化が急激に起こったとするモノ。

斉一説

ケツアルコアトリス(羽龍または翼手龍)

 1854年、テキサスで発見された巨大な羽を持つ恐竜

 発見者のラドウィック教授気力学を用いてこの巨大恐竜が跳べると主張したが、その死後滑空するのが精々だろうと言う修正意見が現れる。

ケンブリッジコンパイラ

 ケンブリッジの機関解析研究所で開発されるコンパイラ。新しいケンブリッジコンパイラは歯車の摩耗を万遍なく振り分けるするようにデザインされていると言う。

エンジンリ(機関術)

コンパイラ

 機関を動かす為のプログラムパンチカードの言語規格。

 ブリテンのケンブリッジコンパイラとフランスのナポレオン規格がその双璧である。

エンジンリ(機関術)

サ行

サボタージュ(破壊工作)

 サボーとはフランス語で木靴を意味する。これを履いたフランスの労働者が歯車を蹴り外す光景からこの言葉が生まれた。

大ナポレオン

ジャカルディーヌ協会

 フランスのクラッカー組合。一部がヴォーカンソンの息子たちと自称する秘密結社を形成している。

クラッキング蒸気知能協会

受信電信機

 機関の情報網により、文書を送ったり受け取ったりするシステム。

 この世界では電話より先にEメールのシステムが発生している訳である。

蒸気知能協会

 ブリテンのクラッカー組合。

クラッキングジャカルディーヌ協会

蒸気要塞

 蒸気で動く要塞。武装が有る事から察するに、装甲車か戦車の類だと思われる。

ガーニー

進化論

 チャールズ=ダーウィン卿により広く議論されるようになった新しい科学知識。

 聖書の天地創造神話と真っ向から争うが、産業急進党の支配下にあるイギリスでは広く受容されている。

激変説斉一説

斉一説

 地質学的な発見から生じた新説。ライエル卿が提唱。

 旧来の激変説に対し、大地が現在の状態に成るのに長い年月が掛かったとする聖書に記述された天地創造の年月を否定する学説。

 新種の動物の発生原理を説明出来なかったが、ダーウィンの進化論がその点を補完した。

大陸移動説

ゼファー

 55年のダービーで優勝し、ブームになった競走用ガーニー。亡きラドウィック教授気力学の原理を取り入れた線流形のボディーが斬新。

セルロース

 世界最初の合成プラスティック素材。引火性が強いので、樟脳処理されている事も。フランスの誇る”大ナポレオン”用に開発された。

タ行

大ナポレオン

 フランスの初代皇帝、ではなく第二帝政フランスの誇る巨大機関のこと。その性能は55年当時最高の水準である。

 デリケートに出来ており、フランス式コンパイラ(ナポレオン規格)によって動き、カードもセルロース製を使用する。サボタージュにより調子を崩していると言う噂もあるが。 

大陸移動説

 65年にマロリー博士が発見。

 彼は激変説論者であり、当初はこの移動が天変地異による物だと考えていた。その後の年代測定法の進歩により、急進的な激変説を捨て去っている。 

斉一説

ナ行

ナポレオン規格

 フランス式コンパイラのこと。一時期、イギリスのクラッカーの間でも流行したが、大ナポレオンのトラブル以来低調である。

ハ行

番号

 市民番号。個人データの全てを管理する番号。ブリテン市民なら誰もが持っている。メールアドレスにも成り、また銀行口座の番号としても使われる。機関のネットワークが発達したブリテンならではのシステムである。

 フランスでも採用されているらしいがブリテンよりは管理が緩い。あるいはクラッカーが優秀なのか。

ブロントサウルス(雷龍または陸の巨獣)

 54年にエドワード=マロリー博士によってワイオミングで発見された恐竜。博士はこれにより巨獣(リヴァイアサン)マロリーと呼ばれるようになる。

 水棲説と陸生説が議論を呼んでいるがマロリー博士自身は陸生説を採っている。

砲術機関

 軍事急進派の碩学によって発展した。

 軌道計算、発火タイミングを全て機関によって計算するので、正確な集中砲火が実現した。

 正確で絶え間ない砲撃が”火事嵐”を引き起こす。

マ行

モーダス ◎真相◎

 数学的機関術の秘密の技で胴元を負かすことの出来る伝説のシステム。

 レディ・エイダが持っていると言われるが…。

ヤ行

ラ行

更新速度(リフレッシュ・レート)  

 キノトロープの動画の更新速度。通常は機関の性能によって決まる。

ワ行