時代小説人物評伝

捌の肆 近代私人篇

 範囲を大正昭和まで拡大して名称変更。

駒井相模守 (こまいさがみかみ:生没年不詳)

 実名信興。慶応二年十月から慶応四年一月まで南町奉行を勤めた。

 山風版 「警視庁草紙」

 最後の南町奉行佐久間某の代わりに奉行所引き渡しを行う。

 隅の御隠居(ミステリマニアならにやりとするネーミングですね)と称して川路大警視と知恵比べをする。

芦原将軍 (あしはらしょうぐん:1852〜1937)

 本名金次郎。明治末から昭和初期まで大衆に人気を博した狂人統合失調症患者。

 山風版 「警視庁草紙」

 入院前の若き頃(既に発症し周囲に迷惑を掛け始めている)で登場。

原胤昭 (はらたねあき:1853〜1942)

 元南町奉行与力。慶応二年に十四歳で与力となり維新の時にはまだ十六歳であった。三代目は由比正雪の事件で丸橋忠弥の捕り物に加わったという。

 維新後は洋書販売の十字堂を開店するが、福島事件の風刺で政府の怒りを買い投獄される。

 出獄後は囚人の社会復帰に尽力、日本初のキリスト教誨師となる。その業績から「免囚保護」の父と呼ばれる。

参考hp 千葉一族

 山風版 「明治十手架」「幻燈辻馬車」「地の果ての獄」

 ヘボン先生の提案で有明姉妹の後援となり、出獄人の保護事業を始める。

 主人公(ほぼ一人称視点)である「明治十手架」とゲスト・脇役の二作品では記述が微妙に異なる。

 本人のあずかり知らぬ知らぬ内に、周囲が彼を守ろうとして戦う。人徳と言えばそれまでだが。

錦織剛清 (にしごりごうせい/きよたけ:生没年不明)

 元相馬家臣。相馬事件において家令・志賀直道(文豪志賀直哉の祖父)らを告発。逆に誣告罪で有罪となり事件は収束した。

 山風版 「明治忠臣蔵」

 情人東明しげ子を主君の看護婦として送り込む。しげ子は相馬子爵の狂気に気付きつつも、剛清の心情を慮って知らせず。事態は悪化の一途。

有馬四郎助 (ありましろうすけ:1864〜1934)

 旧姓益満。五歳の時に有馬家の養子となった。「愛の典獄」と呼ばれる。

 山風版 「地の果ての獄」

 明治十九年、北海道集治監看守として赴任し、教誨師原胤昭と知り合う。

飯野吉三郎 (いいのきちさぶろう:1867〜1944)

 美濃岩村藩士の息子。新興宗教家。同郷の有名人下田歌子女史の仲介で政財界に食い込み、日本のラスプーチンと呼ばれた。

 大逆事件(幸徳事件)のでっち上げを行ったとされる。

 山風版 「ラスプーチンが来た」

 稲城黄天の仮名で登場。明石元二郎と対決を繰り広げるが、来日したラスプーチンと出会ってからはその配下に成り下がる。

前田光世 (まえだ みつよ:1878〜1941)

 講道館黎明期の柔道家。コンデ・コマを名乗って世界を転戦して柔道を広めた。

 ブラジルに帰化する際に通称を本名とした。ブラジルにおける弟子の一人がグレイシー柔術を生み出す。

 横田順弥 「人外魔境の秘密」

 天狗倶楽部による人外魔境の探検隊に現地で合流する。

甘粕正彦 (1891〜1945)

 憲兵大尉時代に関東大震災の混乱を利用して社会主義者大杉栄とその妻伊藤野枝を殺害に及ぶ。 出獄後満洲へ渡り、満映理事長となる。

 荒俣宏 「帝都物語」

 大陸に渡った加藤と辰宮恵子と知り合う。

 トップへ戻る