魔法社会学用語集
経済・社会
社会体系の第一段階形態。トーテムによって支配され、総有制に則って運営される。
相互扶助の「内の倫理」と「血の復讐」に象徴される「外の倫理」の二重構造が見られる。
農耕を通じて部族社会から都市国家へと解体・発展する例と、牧畜(遊牧)を介して氏族同盟から遊牧民国家へ統合される過程とに分かれる。
原始社会に見られる共同所有の原理。原始共産制ともいわれる。
生産性の低い原始社会では、限られた資産を効率よく使うためにこの様な共同占取が優先されるが、生産性の向上により私的所有の考えが生まれてくる。
社会が発展する上での重要要素。弓矢の作成や加工術など、熟練を必要とする技術の発生により生まれる。
何段階もの過程が有るが、その第一段階が年齢と性別による分業である。
社会の拡大と共に発生した古代の奴隷制。私的所有発生以前の総有制社会に由来し、後に見られるような売買の対象とは成らない。
戦争によって発生した征服民や捕虜の他に、社会の構造変化によって生まれた債務奴隷を含む。
身分階層性の萌芽。農耕の発達により生産力の向上により余剰が出来ると所有の考えが生まれ、貧富の差が発生する。
技術秘匿を目的とした世襲などから生まれる家産官僚もここに関連する。
司法権や警察組織が未発達の時代に血族単位で行われた報復行為。
農耕の発達により血縁を越えて新たに地縁によって再構成された、第二段階の社会体系。
ビッグマンと呼ばれる裁定者が生まれる。また集団の巨大化の過程で多様な奴隷制を発生させる。人口の集中と社会余剰から都市国家が発生する。
牧畜を主とする遊牧民が形成する氏族の共同体。同じ第二段階である部族社会と異なって地縁的な結びつきが薄い。
文字として示されない、構成員の間に暗黙のうちに有る規律。余所者との接触が増える第二段階の社会(部族社会や氏族同盟)において発展したと思われる。社会の巨大化により成文法の必要性が高まる。
公益のために労働力を供出する事で社会的奴隷の変形と言える。
後に物や貨幣による納税制度に取って代わる。
血縁社会から地縁社会へと変貌する過程でどの文明でも一度は通過する第三段階の社会体系。都市化すなわち文明化であるがその先が東西で大きく異なる。農耕民魔術が大系化される。
分権的な都市国家連合で終わるか、集権的な領土国家へと移行するかが文明発達の境目となる。
富裕層が兵役免除の代償として資産の一部を供出した事が始まりと思われる。
その納入方法は様々であるが、納税の一手法として貨幣が用いられる事もあった。
成員に対し一律に課税する手法(人頭税)、収入に比して課税する手法(直接税)、売買品に課税する手法(間接税)がある。
また奴隷労働力が経済活動の一角を支えるようになった社会において出現する個人所有の奴隷。
彼らは法的には奴隷であるが主人と忠誠や愛着によって結びついているので、奴隷と主人との調和関係が発生することは珍しくない。特にローマ時代におけるギリシア人家庭教師のように、奴隷の方が教養が高いという現象も見られる。
第二次産業の萌芽。
氏族段階では老齢者の職分になっていたが、技術の高度化から専業化(社会的分業)が生まれる。
知識を集成して学問として体系化し次代に伝えようとする試みのひとつ。
生産に直接関連する知識に関しては家産官僚階層によって秘匿される。
生産から切り離された富裕階層の余暇を基底とし国家が関与しない。
遊牧民社会が定住地を持たないまま国家形態へと成長した物で、農耕民社会から見ると辺境(農耕に適さない乾燥地帯)に跋扈し交易を行う。移動牧畜民の第三段階。
農耕民達が領土国家を築くと交易の自由が束縛されるため団結して領土国家への干渉を行う。同時に遊牧民魔術が形成される。
この農耕民と遊牧民の抗争の果てに文明の融合が起こり古代帝国が誕生する。
第三次産業の萌芽。物々交換より始まる。貿易へと拡大するためには貨幣制度と成文法(商法)が必要となる。
都市国家の淘汰により発生する都市国家群。農耕社会の第四段階。
同質の文明を持つ都市国家は集約する傾向を持つ。その集約点が古代帝国となる。
巨大な古代帝国を統治する上で欠かせないシステムの一つ。
街道の整備とその治安維持が重要となる。
商取引の基盤。貿易へと拡大するためには不可欠である。
貨幣とは、財貨として売買しうる「一般性を持つもの」である。中でも鋳造貨幣は主に移動生活を営む遊牧民達が財産を保持する手段として貴金属の持つ「価値保蔵」性を利用したが始まりらしい。
特定の産物を生産することに特化した都市。
当初は兼営されていた手工業が独立する過程である。
社会毎に多様性が見られる。
世襲による初期官僚制。
氏族毎に職能を定める一種のカースト制であり、職業選択の自由がないことから有る意味で社会的奴隷の変形とも言える。
領土国家を経営するための手法。
地方軍人に統治を委任すると言う形式を取るので中央からの統制は弱い。郡県制が中央集権的であるのに対し地方分権的と言える。
専制君主の手足となって働く国家公務員とその支配体制。
その養成と選出、そして統制が常に問題となる。
農耕社会と遊牧社会をそれぞれの本来の形で併存させつつ、両者の固有の機能をもって国家に寄与させる。遊牧社会の第四段階。
キタイ帝国が始めた外民族の中国支配の新形態。
農耕民と遊牧民の抗争を経て統一に至る領土国家にして古代社会の終着点。帝国の版図と文明の極限とが一致する。市民権が拡大し、成文法が整備される。
巨大な帝国の国家機能を支えるために専制官僚制とこれに人材を供給する知識層を必要とし、それらを円滑に統括する為に頂点に専制君主を戴く。
版図の拡大により周辺民族の流入・同化が進むがやがて飽和点を超えて崩壊に至る。その後に生まれるのが新王国である。
農耕民と牧畜民の相異なる魔法文明を集約し発展させる役割も負う。
古代アッシリア帝国に起源を持つ領土を分割し官僚を派遣して統治させる制度。
封建制度との最大の違いは代官=知事に軍事指揮権を持たせない点である。
地方分権的な封建制に対し強い中央統制が働く。
名称は始皇帝の秦帝国のモノだが、ローマ帝国の属州制もこれに類似した制度である。
都市国家に起源を持つ。
市民とは市城に居住し、これを守備するために兵役の義務を負う。
古代帝国に置いては兵役を国民すべてに課すために市民権の拡充が行われた。
構成員の誰もが参照出来る整った法典。
社会の必要性に応じて刑法・民法・商法などが整備される。
市民を法の保護から外す刑罰。宗教的な破門や中世ドイツにおけるアハト刑、日本では村八分がこれに該当する。
復讐制度を中世法に適合させたもの。当事者同士の決闘により失われた権利の回復を図る。中世ヨーロッパのフェーデや日本の仇討ち制度。近代法制の誕生とともに禁止された。
中世の農業政策の典型で、政府所有の土地を分配し耕作させて租税を得る政策。その実体は西洋に見られる農奴制である。
この政策は耕作民が少なく、土地が余り気味の時には有効であるが、人口が増えてくると破綻傾向になる。
国家を支える官僚を身分によらず学力試験によって選出する画期的な制度。
学閥という新たな弊害も生まれる。
国家の統制を離れた私有農地。
これが増えすぎると国家財政が破綻する。
古代帝国末期に流入した異民族による入植移民国家で、その文明を継承した国家群を指す。成文法と並んでその核となるのが新興宗教である。
ちなみにこの名称は「エルリック・サーガ」から採っている。メルニボネ帝国(古代帝国に相当)の外縁に生まれた蛮族(マブデンと呼ばれる人間)の諸王国のことである。
農地の近くに生まれた居住集落で、防衛機能を有しない点が古代都市と異なる。都市圏を構成する要素の一つ。
古代帝国の崩壊過程と前後して発生し、新王国に組み込まれた。
領土国家の成立により、それまでの都市国家と異なって消費主体でそれ自体では自給自足しない新たなタイプの都市が発生した。これら都市の人口を支えるためには周辺に食料生産の拠点となる農村が必要となる。この双方をまとめて都市圏と呼ぶ。
商取引における規則が自立的に決定されるシステム。
経済的分権制制度。
商人的経済の発展により奴隷の転売が盛んなると主従関係を安定化させてきた古い美徳は失われる。
この状態が商業的奴隷制である。この派生として借金の形に売られるのを債務奴隷という。
交易がより専門化し、拡大した物。
異民族・他国家民を相手に営まれるため国家の保護が必要である。
国家は貿易の利益を享受する事で豊かになり、やがて近代的市場経済システムを生み出す。
武力より財源を重視し、武力は必要ならば金で購うと言う国家。
これは貨幣経済が充分に発達してが初めて成立しうる。
イスラーム世界や唐王朝後期、現代日本などもその典型例であろう。
特定の地域に限定されていた商業活動を自由にするのが楽市、また特定の集団に限定されていた商業活動の規制を撤廃するのが楽座である。
これは重商主義経済への移行期に考えられた自由主義経済の政策であるが、商業の富を捕捉する為に新たな手段を必要とする。
紙に印刷された貨幣で貴金属の不足を補う形で発生した。
国家の信用がその価値を与える訳だが、製紙と印刷の双方の技術があって初めて可能になる。紙幣の登場は貿易の拡大を促進する。
ドイツにおいて自力救済を禁じた法令。日本では秀吉の総無事令がこれに相当する。但し日本では敵討ち制度が武士階級の名誉として残った。
封建制をうち砕く富裕層の活動。富の劇的な再配分が起こる。
産業革命以前の農業に生産基盤を持つ社会。
大規模なエネルギー資源の投入により大量生産を実現する生産システムの大転換。
それ以前とは比べモノにならないほど大きな人口を支えることが出来るが、また様々な問題点も発生させる。