忍者外史7 鳥居甲斐守対遠山左衛門尉

 公儀主流(水野・鳥居)派 中間・不明 反主流(阿部・遠山)派 反公儀派・在野

文政十一年

 公儀隠密間宮林蔵、高橋作左衛門を告発。シーボルト事件の発端となる。(春夢兵)

天保二年

春 間宮林蔵の依頼により、伊賀組が南部家支藩・八戸藩を探索する。(春夢兵)

 篠縫之介の「春夢兵」、相馬大作の弟下斗米鉄之進が進める八戸藩の軍事改革を霧散させる。(春夢兵)

天保四年

 服部万蔵の姪お七の婿を決めるための試験が行われる。最終候補者四人のうち茨木丈馬は平均的すぎて落選し、代わりに朝国甲太夫の家を継ぐ。(忍法とりかえばや)

 上州岩殿藩への調査潜入。候補者三名は全滅し、それぞれの優れた部分を受け継いだ丈馬がお七の婿とされるが。(忍法とりかえばや)

天保五年

 果心堂は銭函将曹に肩入れするが、女房のお狛が相手の神坂を後押ししたために神坂が勝利を収める。(笑い陰陽師・忍法棒占い)

 果心堂、煩悩の元を絶とうと欲する新免又右衛門より玉を抜く。一方、勢力増強を望む鐘巻武蔵守に二人分の玉を与える。(笑い陰陽師・忍法玉占い)

冬 お狛、武蔵守の玉をすべて抜き、内三つを小泉半九郎に、内二つを又右衛門に与える。さて残りの一個は果心堂が貰ったらしい。(笑い陰陽師・忍法玉占い)

天保六年

 忠治、果心堂の弟分になる。果心堂、鐘巻家士の懇願に応じ「忍法独筋具」によって一筒斎の不能を治す。(笑い陰陽師・花占い)

 お狛、柳生の剣士下り葉左内に「進行性筋萎縮」を掛け、右手のと引き替えに立たせる。彼が一筒斎と試合すると知ったお狛、責任を感じ、果心堂の協力により一筒斎に「笛谺」を仕掛け、弱体化させる。(笑い陰陽師・花占い)

夏 果心堂、「爪紅の法」によって青梅藩士の対決に判定を下す。(笑い陰陽師・紅占い)

 伊賀無足人服部蛇丸、綱手の方が生んだ竜丸君を藤堂家の世継ぎにすべく、長子蓮之介に「忍法精水波」を掛ける。(自来也忍法帖)

天保七年

初春 お狛、果心堂の尻ぬぐいのために青梅へ向かい「棒紅」によって政策を打ち壊す。(笑い陰陽師・忍法紅占い)

晩春 果心堂、青梅秩父守家中の奇態な実験に協力する。(笑い陰陽師・忍法墨占い)

 果心堂夫婦、上州に下向し忠治に助力する。(笑い陰陽師・忍法墨占い)

天保八年

春 服部蛇丸、叛意を示した阿波隼人を処断する。(自来也忍法帖)

 謎の忍者自来也、石五郎に向けられた精水波を妨害する。(自来也忍法帖)

四月二十七日 妖人南無扇子丸、大塩平八郎の前に現れて「知行散乱」による逃走を勧めるが、大塩これを拒んで自害する。(武蔵野水滸伝)

初夏 自来也が服部蛇丸を討ち、藤堂家のお家騒動は沈静化する。(自来也忍法帖)

天保十二年

春 銀五郎、お耀の懇願で深川の彫松による”三年大精進”の刺青を入れる。(武蔵野水滸伝)

四月( 一月後・初夏) 銀五郎、お耀の発案で剣豪を柳生屋敷に集め選考会を開く。当初十人の所、同伴者を含め十六人となり、これを一対一で競わせて八人を選出する。南無扇子丸、柳生家の人間と称してこれを見聞。(武蔵野水滸伝)

 お耀、敗者側の剣士(失踪した平手と上州へ帰った樋口を除く)を召して奉行所の役人と共に剣術の修行に励む。(武蔵野水滸伝)

 銀五郎、お耀の父甲斐守の方針に疑問を覚える。南無扇子丸、銀五郎に「知行散乱」を勧める。(武蔵野水滸伝)

十二月末 箒天四郎と塵ノ辻空也、伊賀組頭・服部万蔵による意志力の試験に合格し、南町奉行に内定した鳥居耀蔵に推挙される。空也は鳥居の唱えた悪の剔抉者足ることを拒み、むしろ悪の擁護者足らんことを宣言する。(忍者黒白草紙)

天保十三年

正月 天四郎、板倉屋女房お史の懇請を受けて亭主との面会を許す。空也、現れて天四郎の成敗よりお史を救い去る。(忍者黒白草紙)

二月半ば 天四郎、「忍法邯鄲」により死不知の死之助の恐喝のタネを聞き出す。空也、織田右京の妻や死之助の女房を何処かへ隠す。(忍者黒白草紙)

 南無扇子丸、銀五郎に「知行散乱」の誘いを掛ける。(武蔵野水滸伝)

 赤城山に入った銀五郎、忠治に軍略を説き彼を煽動する。また日光の円蔵に「野の遺侠」達を集めてくる様に指示を出す。(武蔵野水滸伝)

四月 天四郎、矢部駿河守の長子彦四郎に「忍法邯鄲」を掛け、彦四郎の妻偵代にそれを舅と錯覚させる。

七月半ば 天四郎、金兵衛から柳亭種彦の筆と言われる春本を入手。若年寄からの使者として旗本・高屋彦四郎(柳亭)を召喚し”彦四郎の食客である種彦”の追放を命じる。(忍者黒白草紙)

 天四郎、”箒木の術”により彦四郎、春本・水揚帖の執筆を告白させる。(忍者黒白草紙)

夏 南無扇子丸、出動から外された落選組六名に「知行散乱」の誘いを掛ける。大石進が清水の次郎長に、伊庭軍兵衛が小金井の小次郎に、高柳又四郎が武居の吃安に、斉藤新太郎が森の石松に、斉藤弥九郎が笹川の繁蔵に。妖遊侠衆、赤城山へ向かい、男谷精一郎はそのままで同行する。(武蔵野水滸伝)

08/07 清水の次郎長、実は大石進、秋山要助の左目を奪う。小金井の小次郎、実は伊庭軍兵衛、物外和尚の左手首を落とす。更に武居の吃安、実は高柳又四郎、桃井春蔵に挑む。(武蔵野水滸伝)

 上州より帰ったお耀、下総印旛沼の開拓事業に従事する父甲斐守に同行する。(武蔵野水滸伝)

八月 天四郎、水野よりの直接指令で桜田の御用屋敷(通称比丘尼屋敷)を探る。以前の事件で行方不明となっていた女性達を発見し、その背後にいる親友塵ノ辻空也と糾問する。空也、天四郎の頼みで女達を孕ませる活動を始める。(忍者黒白草紙)

 忠治に入った男谷、大戸の関を破って帰還する。最後に残っていた樋口も栄五郎に入る。(武蔵野水滸伝)

秋 天四郎、西洋砲術家高島秋帆について探る一方で、感応寺の組織的な女犯行為を掴む。(忍者黒白草紙)

冬 天四郎、甲斐守の新任厚い同心椎原新蔵の監視を命じられる。(忍者黒白草紙)

天保十四年

春 笹川の繁蔵、中味は斉藤弥九郎、平手造酒と闘う。行き会わせた銀五郎は栄五郎の樋口と対峙する。南無扇子丸、お伏をさらう。(武蔵野水滸伝)

 お伏辛くも扇子丸の魔手を逃れ、江戸のお嬢様(お耀)の元へ駆け込む。(武蔵野水滸伝)

 南無扇子丸、千葉道場に当選組(こちらは抜け殻状態)と落選組を集めて「知行散乱」のからくりを説明する。国定の小谷、秋山要助を斬る。これを見て当選組、南無扇子丸の提案を受ける。千葉周作が大石進に、島田虎之助が斉藤弥九郎に、桃井春蔵が高柳又四郎に、浅利又七郎が樋口十郎左衛門に、千葉奇蘇太郎が斉藤新太郎に、勝小吉が男谷精一郎に、物外和尚が伊庭軍兵衛に入る。(武蔵野水滸伝)

 お耀、当選組の剣士達を呼び出すが、抜け殻となった剣士達は代わりに落選組の面々(実は彼ら自身)を推挙する。(武蔵野水滸伝)

五月 天四郎、桜田屋敷での間違いを感応寺のスキャンダルで相殺する。(忍者黒白草紙)

 天四郎、紀州附家老・安藤監物に逆「邯鄲」を仕掛け、その男性機能を回復させる。回復した監物、主君へ献上するはずの女性に手を付け、これをうやむやにするため上知令に反対し主家を危機に陥れようとする。(忍者黒白草紙)

08/05 南無扇子丸が、お伏の計略に掛かり倒されたため、妖遊侠衆は皆元の体へと戻る。正気に戻った剣客・侠客達、銀五郎と対峙する飯岡一家に斬りかかる。(武蔵野水滸伝)

09/13 天四郎、親友空也を襲うが女達の抵抗によって敗れる。甲斐守の娘お兆と共に心中する。(忍者黒白草紙)

天保十五年/弘化元年

 九沓歓兵衛、お信と示し合わせて婿養子宗八郎を伊賀組から排除する。(忍者傀儡歓兵衛)

弘化年間

 入り婿服部紋三郎、妻お半の指導により忍法に開眼する。(妻の忍法帖)

嘉永六年

 ペリー来航。

嘉永七年/安政元年

春 甲賀くノ一、将軍家定の隠萎早漏を治すため側に侍るが失敗する。(秘戯書争奪)

 丹波陽馬を指揮官とする甲賀のくノ一七名、老中阿部伊勢守より半井家所蔵の「医心方」の奪取を命じられる。これを知って京の実家へ戻り「医心方」を預けられた陽馬の恋人雪羽、青蓮院の宮が送り込んだ伊賀の忍者七名に対し、書物を読ませずに内容だけ教える様に指示する。(秘戯書争奪)

安政年間

 香月平馬、小塚ッ原の首切り役人鉈打天兵衛に弟子入りし、その首継ぎの実験に協力する。(忍法小塚ッ原)

安政七年

03/02 香月平馬、師の天兵衛を斬って立ち去る。記述はないが、平馬が斬りに行くさるお方とは井伊大老であろう。(忍法小塚ッ原)