明治04

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十八年

12/22 太政官制が廃止され、我が国初の内閣が成立する。伊藤博文が初代の総理大臣に任命される。

十九年

一月半ば 山本少佐、海軍大臣となった小西郷より特命を受け大山巌夫人捨松を訪ねる。ダンスの教授を依頼し、同時にその護衛を務める事となる。(エドの舞踏会)

03/03 西郷大臣主催の舞踏会が鹿鳴館で催される。(エドの舞踏会)

三月 剛清、禁錮三十日、罰金二円、監視六ヶ月の判決を受ける。(明治忠臣蔵)

四月初 井上夫人が引き取った娘、生母の間夫(自由党壮士)に攫われ、身代金が要求される。夫人の前夫・中井桜洲、娘の奪還に成功する。(エドの舞踏会)

04/20 相馬子爵の入院する府立癲狂院、本郷から巣鴨に移転。相馬家、自費の特別病棟を建設。(08/08完成)(明治忠臣蔵)

四月 剛清、後藤新平に出迎えれれて華々しく出所。相馬事件世間の評判となる。(明治忠臣蔵)

五月半ば 山本少佐、大山夫人の供で伊藤博文邸を訪問。借金の催促に訪れた野々村万作と出会わす。(エドの舞踏会)

05/25 大坂事件の公判始まる。(明治波濤歌・風の中の蝶)

六月 静岡事件。

夏 伊藤夫人梅子、かつて袖にされた浜田屋のお香を妾にしようとした貸し野々村万作をにやり込める。(エドの舞踏会)

07/07 明治帝、伊藤邸に臨幸。伊藤、貞奴を水揚げする。(エドの舞踏会)

 伊藤邸、借金の形として三菱に接収され、小田原の別邸へ転居。総理公邸が造られるきっかけとなる。(エドの舞踏会)

8月末 山本少佐、大山夫人の供で山県有朋の椿山荘を訪問。友子夫人の依頼により、山県内務大臣を密偵する。(エドの舞踏会)

秋 有馬四郎助、樺戸集治監へ赴任。石狩丸船中にて教誨師原胤昭と知り合う。小樽からの汽車義経丸の車中にて、幸田成行を紹介される。多分9月くらい。(地の果ての獄)

 原胤昭の抗議で呼ばれた町医者・独休庵(ドク・ホリデー)肺病の患者を安楽死させる。(地の果ての獄)

 樺戸で放火騒ぎ。結局関わった囚人二十二名が死刑となる。(地の果ての獄)

10/01 三島警視総監主催の舞踏会。山県夫人友子、夫の隠し妾貞子を鹿鳴館へ同行し、自分の死後に貞子が後添えに収まることを防ぐ。(エドの舞踏会)

十月 有馬、樺戸と空知を結ぶ道路の建設に携わる囚人の監視を行い、空知の高野襄(山本五十六の実兄)看守長と知り合う。(地の果ての獄)

十月上旬 山本少佐、黒田清隆邸を訪問。黒田は井上邸へ行って留守。帰宅した清隆、酩酊して大暴れを見せる。(エドの舞踏会)

数日後 山本少佐、大臣の命で講道館を訪問。黒田家の馬丁を見掛ける。彼の一言が黒田家に壮絶な破局をもたらす。(エドの舞踏会)

10/24 星亨、中江兆民らが発起人となり、旧自由党員を中心に全国有志大懇親会が開催される。大同団結運動が開始される。

十一月 精養軒にて、伊藤と井上の主催(言い出したのは実は大隈と因縁深い黒田)による大隈重信の激励会が催される。森有礼大隈を出汁に同輩達の品行について苦言を吐く。(エドの舞踏会)

十一月 森有礼夫人常子、金髪碧眼の赤ん坊を産み落とし、「これで森有礼の妻に成れた」と呟く。(エドの舞踏会)

11/13 石坂公歴、渡米のため横浜に行き、北村と再会する。(明治波濤歌・風の中の蝶)

 警視庁の密偵・赤沼、石坂の渡米に対し妨害工作を行い、自由党の刺客・土方襄之助に斬られる。石坂も密告者として狙われるが、秋山の娘・縫がこれと刺し違える。(明治波濤歌・風の中の蝶)

11/22 旅行免状を奪われたままの石坂、女装して同じ船で渡米する南方熊楠の妻と偽って無事乗船する。(明治波濤歌・風の中の蝶)

二十年

一月 山本少佐、西郷大臣の使いで大隈邸を訪問。学校への寄付という名目で一万円を届ける。(エドの舞踏会)

一月末 大隈夫人綾子、井上邸へ馬車を譲り受けに出向く。山本少佐、これに同行し、帰り道に井上外相と間違われて襲われる。(エドの舞踏会)

01/23 囚人橋詰愛兵衛、看守から銃を奪い浜田友太郎を撃つ。浜田は堂目看守を撃つ。(地の果ての獄)

01/30 剛清、しげ子の父平助等のの協力を受けて相馬子爵を病院から連れ出すことに成功する。剛清、子爵が普通でないことに初めて気付く。しげ子、子爵の病状を打ち明けるが、既に事態は大きく成りすぎていた…。(明治忠臣蔵)

02/03 橋詰、斬首と決まる。(地の果ての獄)

二月 熱海で相馬子爵を警視総監と引き合わせる計画であったが行き違いとなる。子爵の治療を目指して東海道を下るが、静岡で捕捉され東京へ送り返される。(明治忠臣蔵)

02/16 剛清、新橋へ戻る。差し止めておいたはずの告発文書が活字となっているのを知る。翌日、警視庁へ出頭。(明治忠臣蔵)

二月半ば 山本少佐、来る三月三日の舞踏会への出席を打診するため陸奥宗光邸を訪問。徳富猪一郎の知遇を得る。陸奥が山形で入牢中に生ませたという娘が継父に伴われて現れる。(エドの舞踏会)

 後藤新平、剛清と連座で逮捕されるところ、国外への”聞こえ”を憂慮した陸奥の警告で免れる。(明治忠臣蔵)

二月下旬 男爵令嬢・長可奈子、原をを訪ねて空知を訪問。有馬、彼女を鴉仙和尚(細谷十太夫)の元へ送る。(地の果ての獄)

三月 秩父事件・加波山事件の囚徒が破獄し、岩村石川県令と行き会う。岩村は即座に囚人の射殺を指示するが、新島襄に制止される。(地の果ての獄)

 岩村県令、アイヌ村を訪問、其処に目的の長家の令嬢を発見する。(地の果ての獄)

03/03 事情を知った陸奥夫人、陸奥の隠し子を舞踏会に伴い、三島警視総監に紹介し彼の動きを封じることに成功する。(エドの舞踏会)

03/17 原、長家の令嬢を巡って岩村と諍い。その夜、火薬庫爆破の容疑で掴まる。爆破は原を狙った物であった。鴉仙和尚や独休庵らによる原の救出作戦が行われる。(地の果ての獄)

03/18 救出された原、義経号にて幌内へ出発。(地の果ての獄)

04/26 井上外相邸への行幸啓。井上の発案により、歌舞伎役者の天覧芝居が催される。ル・ジャンドル夫人、養子に出した我が子・板東竹松(後の十五世市村羽左衛門)の晴れ姿に涙し掛け声を挙げる。(エドの舞踏会)

六月 二葉亭四迷「浮雲」発表。

夏 幸徳伝次郎(秋水)、東京に出て自由党残党の壮士となる。(四分割秋水伝)

暮れ 保安条例により自由民権論者は東京から追われる。伝次郎、大阪に逃れた中江兆民の書生となる。(四分割秋水伝)

明治二十一年

04/03 雑誌「日本人」が創刊される。

04/30 第2代の内閣、黒田清隆内閣が成立する。大隈重信が外務大臣に起用。

06/18 雑誌「日本人」が、長崎の高島炭坑労働者の虐待の記事「高島炭坑の惨状」を掲載し、社会問題をひきおこす。(明治波濤歌・築地西洋軒)

七月 ツルゲーネフ作二葉亭四迷訳「あひびき」が刊行。

09/08 森鴎外がドイツ留学から帰国する。(明治波濤歌・築地西洋軒)

09/11 「日本人」の記者松岡好一、自分の書いた三菱への弾劾状が虚偽を含むと指摘した朝野新聞の犬養毅記者に対し決闘状を叩き付ける。犬養は決闘は野蛮だとして取り合わず。(明治波濤歌・築地西洋軒)

09/20 エリス・ロイゲルト嬢、森林太郎を追ってドイツより来朝。(明治波濤歌・築地西洋軒)

09/25 小金井良精と森篤次郎、帰国を説得するため西洋軒にエリス嬢を訪ねる。(明治波濤歌・築地西洋軒)

09/27 都新聞・浪越余五郎記者、東京日日新聞の大熊雄象記者に決闘を挑む。(明治波濤歌・築地西洋軒)

09/29 大熊、前日の練習で決闘に恐怖を覚え、指の怪我を口実に決闘を逃げる。浪越、その顛末を新聞に書くと宣言。大熊はこれを恥じて切腹。(明治波濤歌・築地西洋軒)

09/30 浪越、大熊の自害に責任を感じたか、自身も自決する。(明治波濤歌・築地西洋軒)

10/23 三島通庸、没。53歳(誕生:天保7(1836)/06/01)。

明治二十二年

02/11 (午前八時)紀元節の祭式。(八時過ぎ)森有礼文相が官邸で暴漢に刺される。翌日死亡。43歳(誕生:弘化4(1847)/07/13)。(十時)大日本帝国憲法発布の祝典。(午後一時〜四時)青山練兵場の観兵式。明治天皇を宮城正門で迎えた小学生らが万歳を三唱する(万歳三唱の始り)。(夕暮れ)観兵式より戻った参謀本部次長川上操六少将、自室にて明石元二郎中佐に出迎えられる。明石中佐、特命により乃木家の幽霊騒動の調査を開始する。(ラスプーチンが来た)

 稲城黄天、森文相の刺殺犯の出入り関係を脅迫の種に利用する。(ラスプーチンが来た)

03/06 森鴎外が赤松登志子と結婚する(翌年9月に離婚)。

三月始め 明石中佐、ニコライ堂で谷崎潤一郎少年(当時二才八ヶ月)を連れた長谷川辰之助(二葉亭四迷)と知り合う。ニコライ大主教と乃木少将大聖堂の高さを巡って論争。明石中佐これを仲介し自宅を訪れる口実を掴む。(ラスプーチンが来た)

 明石、別居中の乃木夫人の帰宅に尽力。夫人の計画に知恵を貸した稲城黄天を訪れる。これに同行した乃木家の馬丁津田七蔵の頼みで彼の恩人の竜岡家の娘・雪香を救う。(ラスプーチンが来た)

04/20 ドイツ、ナチス総統になるヒトラーがオーストリアのブラウナウに誕生。(ラスプーチンが来た)

五月 明石と津田、雪香の弟・綱彦の病気(血友病)について調べる。軍医大尉森林太郎の紹介でベルツ博士と会い、その奇妙な遺伝性を知る。帰り道、喀血した第一中学の生徒(後の正岡子規)とその友人(夏目漱石)と出会う。(ラスプーチンが来た)

05/31 大隈重信外相の条約改正案に関するロンドン・タイムスの記事を雑誌「日本」が掲載し、反対運動のきっかけとなる。

10/08 細川家の家扶、香水の購入を巡って決闘し、相撃ちとなる。エリス嬢、事件の不審点を指摘しこれが決闘による相打ちでなく偽装殺人であると見抜く。翌日二人の上司であった細川家の二人の家令、拳銃で相撃ちとなって発見される。(明治波濤歌・築地西洋軒)

10/13 八十綱伯爵、日本人論を巡ってナウマン氏と口論となり決闘を挑む。エリス嬢が伯爵が死にたがっている理由を指摘したため、伯爵は自決。(明治波濤歌・築地西洋軒)

10/15 エリス、相次いで見た日本人達の死が全て嘘を覆い消すための物であることに、恐怖を覚え帰国を決める。(明治波濤歌・築地西洋軒)

10/16 森林太郎、エリスに会って謝罪。エリス、翌日の船で帰国する。(明治波濤歌・築地西洋軒)

10/18 大隈重信が玄洋社社員の来島恒喜にダイナマイトで襲われ、隻脚を失う。来島はその場で自刃する。大久保夫人毅然とした態度で「大隈を生かしてやってください」と片足の切断を了承。(エドの舞踏会)竜岡綱彦、現場近くを通りかかり破片で出血する。雪香、弟の血を止めて貰う為に稲城を訪れる。明石中尉間一髪間に合って姉弟を救い出す。(ラスプーチンが来た)

12/19 明石中尉陸大を卒業。席次は十人中三位。周囲の評価と裏腹に本人は不満であったらしい。(ラスプーチンが来た)

二十三年

一月 森鴎外、「舞姫」を発表。

早春 明石、綱彦に伝書鳩を与える。(ラスプーチンが来た)

早春 竜岡雪香、下村宇多子女史の臨時秘書となる。(ラスプーチンが来た)

4月半ば 鹿鳴館で下山女史主催の大バザーが開かれる。内村鑑三、下山の提唱する「下婢養成所」構想を痛烈に批判する。(ラスプーチンが来た)

 下村女史、内村鑑三の提案により鮫ヶ橋の貧民街を探検し、ボディーガードと称して稲城黄天を同行する。長谷川辰之助、一行と遭遇し案内役を引き受ける。(ラスプーチンが来た)

04/28 チェーホフ、シベリアへ旅行する。(ラスプーチンが来た)

06/26 チェーホフ、ブラゴヴェシチェンスクに到着。死の淵にある日本人娼婦(雪香の母・水香)より娘への手紙を託される。(ラスプーチンが来た)

09/11 チェーホフ、南樺太コルサコフに到着。(ラスプーチンが来た)

10/10 ラスプーチン、チェーホフの日本行きに同道を希望するが、日本行きを止め帰国することを決意していたチェーホフは、自分に代わって手紙の配達を依頼する。(ラスプーチンが来た)

10/13 チェーホフ、ペテルスブルグ号で帰国の途につく。帰国後、「シベリアの旅」を発表。(ラスプーチンが来た)

十月中旬 稲城が軍の残飯をいろは大王・木村庄蔵に払い下げて大もうけしているのを知った明石、これを妨害して今まで通り残飯が貧民街へ回るように手配。この残飯が原因で鮫ヶ橋の貧民街でコレラが発生する。(ラスプーチンが来た)

10/30 教育勅語が発布される。(ラスプーチンが来た)

十一月 ラスプーチン、来日しニコライ大主教を訪ねる。彼の危険性を看破した大主教は、居合わせた長谷川辰之助にラスプーチンの監視を依頼する。長谷川、ラスプーチンを鮫ヶ橋の貧民街へ案内する。(ラスプーチンが来た)

十二月上旬 ラスプーチン、手紙を雪香に渡す。黄天と雪香の取り合いになる。津田七蔵、雪香を連れ去ろうとしたラスプーチンを刺すが効果無し。(ラスプーチンが来た)

二十四年

01/09 キリスト教徒の内村鑑三が教育勅語への拝礼を拒否する。(ラスプーチンが来た)

01/13 明石中尉、参謀本部出仕を命じられる。(ラスプーチンが来た)

二月 滋賀県の警官・津田三蔵、内村の殺害を意図して上京。弟・七蔵にアリバイ作りを依頼し断られる。(ラスプーチンが来た)

02/05 川上音二郎一座が、堺の卯の日座で書生芝居の旗揚げ興行を行う。

03/08 東京駿河台のニコライ堂の開堂式が行われる。ラスプーチンこれを見物する。(ラスプーチンが来た)

03/10 津田七蔵、明石中尉と遭遇。連れだって竜岡邸を訪れる。七蔵からラスプーチンの話を聞いた明石、雪香に求婚。婚姻の日取りが決まる。(ラスプーチンが来た)

04/13 明石と雪香の婚礼の二日前。七蔵の裏切り行為により雪香はラスプーチンの手に落ちる。綱彦は出血死、七蔵は雪香によって刺殺。(ラスプーチンが来た)

04/15 稲城黄天、ロシアの軍事探偵との共謀容疑で拘引される。(ラスプーチンが来た)

04/27 ニコライ皇太子、長崎に到着。軍艦の中で復活祭の行事を行い十日後にようやく上陸する。(ラスプーチンが来た)

05/06 児島惟謙、大審院長になる。(ラスプーチンが来た)

05/11 ニコライ皇太子が大津で警官・津田三蔵に斬りつけられる(大津事件)。(ラスプーチンが来た)車夫・向畑治三郎、北賀市太郎、犯人を押さえて皇太子を救う。(明治かげろう俥)

05/13 大津事件の津田三蔵の処分をめぐり内閣と大審院が対立するが、児島惟謙大審院長が緊急会議を召集した結果、日本の皇室罪を外国の皇太子に摘要することはできないということで判事全員が一致する。明石中尉、川上参謀次長の紹介状により大津事件の犯人と面会。これが兄三蔵でなく、自分の良く知る七蔵であると直感する。ラスプーチン皇太子を見舞い、自分を売り込む。皇太子は破傷風の症状が出て軍艦へと引き揚げる。(ラスプーチンが来た)

05/17 治三郎と市太郎、京都府庁で勲八等白色桐葉章を受け、終身年金を下賜される。(明治かげろう俥)

05/18 ラスプーチン、軍艦アゾーヴァへ招かれる。(ラスプーチンが来た)治三郎と市太郎、軍艦アゾーヴァにてロシア側からも勲章と報奨金を渡され、終身年金を約束される。(明治かげろう俥)

05/19 明石、アゾーヴァに乗り込んで雪香を救い出そうとするが、当人に拒絶されむなしく退却。(ラスプーチンが来た)

05/20 畠山勇子、京都府庁前で自決。ロシア皇太子への謝罪を行う。(明治かげろう俥)

05/27 大審院長児島惟謙、政府の干渉を排し、現行法に則って津田三蔵に終身徒刑の判決を下す。(明治かげろう俥)

夏 治三郎と市太郎、京都を逃げ出す。治三郎は妻子と供に東京へ。市太郎は一足違いで身請けされた恋人を追って伊賀上野へ行き、そこにいた津田の遺族に同情して下賜金を投げ込んで立ち去る。(明治かげろう俥)

09/30 大津事件の犯人・津田三蔵が肺炎で獄死する。数え38歳(誕生:安政1(1854)/12/29)。(ラスプーチンが来た)

 この年 川上音二郎、東京一の美妓貞奴を娶る。

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