明治05
二十五年
二月 相馬誠胤子爵に次回の公判への出廷が決まる。その三日後、子爵が急死する。剛清の身を案じたしげ子による毒殺。(明治忠臣蔵)
03/07 誠胤の異母弟順胤相馬家を相続。(明治忠臣蔵)
07/17 剛清、家令志賀三左衛門他を謀殺容疑で告訴。(明治忠臣蔵)
08/09 相馬家の家宅捜索。同時に志賀家にも捜査員が入る。三左衛門の孫直哉少年、剛清への憎悪を顕す。(明治忠臣蔵)
10/22 ヘボン離日。(明治十手架)
11/01 黒岩涙香が、日刊新聞の万朝報を創刊する。(明治バベルの塔)
11/27 伊藤首相、俥から投げ出され負傷、井上内相臨時総理大臣を拝命。ぶつかってきた治三郎と車を引いていた市太郎、かつての功績に免じて赦免される。(明治かげろう俥)
二十六年
春三月 郡司成忠海軍大尉、有志と共に千島探検を行う。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
夏 市太郎、津田の遺族に狙われているのに気付く。津田の娘・お葉、稲妻小僧(坂本慶二郎)と供に失踪。(明治かげろう俥)
九月 相馬誠胤の死体を検証するが、毒物は発見されず。(明治忠臣蔵)
10/24 毒殺嫌疑が晴れ、志賀以下相馬家の関係者が釈放、剛清、入れ替わりに誣告罪で拘引される。(明治忠臣蔵)
10/25 東明しげ子、全ての秘密を抱えたまま死去。(明治忠臣蔵)
11/16 後藤新平、剛清に連座して警視庁に拘引。外務大臣陸奥宗光、今度は干渉せず。(明治忠臣蔵)
二十七年
05/16 北村透谷が27歳の若さで自殺する。27歳(誕生:明治1(1868)/11/16)。(明治波濤歌・風の中の蝶)
08/01[清の光緒20年7月1日]日本が清国に戦宣布告する。日清戦争が始る。
08/31 川上音二郎一座が浅草座で「壮絶快絶日清戦争」の初日の幕を開け、大評判をとる。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
秋 市太郎、お葉の襲撃から逃れるため軍属車夫として日清戦争に従軍。津田千代吉、市太郎を助けて死亡、姪のお葉を救ってくれと頼む。(明治かげろう俥)
12/28 「文学界」の編集・平田禿木、樋口一葉の新作「大つごもり」を乗せた雑誌と稿料八十円を届ける。一葉、遅れている次回作を正月中に書くと約束する。(明治波濤歌・からゆき草紙)
12/30 万朝報社長・黒岩周六(涙香)一葉を訪ね、探偵小説の執筆を依頼。(明治波濤歌・からゆき草紙)
12/31 一葉、旧主・稲葉家を訪ね美登利の苦難を知る。美登利とその同級だという近くの寺の息子信如をモデルに「たけくらべ」の執筆を始める。(明治波濤歌・からゆき草紙)
二十八年
正月 稲葉美登利、人買いの村岡茂平次に目を付けられ五百円で買われる。一葉、これを救おうとして村岡の友人・久佐賀義教に借金を申し込むが、村岡の登場で失敗。村岡、美登利を連れ去るが、その晩、久佐賀と村岡が何者かによって殺され、美登利は救い出される。(明治波濤歌・からゆき草紙)
03/24 日清戦争の講和条約締結のため下関を訪れた清国全権大使・李鴻章が、慶應義塾を中退した壮士・小山録之助に拳銃で顔面を狙撃され負傷する。(牢屋の坊ちゃん)
04/08 四国へ向かう途上の夏目金之助、神戸にて護送中の李鴻章狙撃犯とすれ違う。(牢屋の坊ちゃん)
09/22 来日中の救世軍士官14人が、神田の基督教青年館で宣戦式を行い、伝導活動を開始する。(明治かげろう俥)
09/26 国木田独歩が信子との新天地を北海道に求めて出発する。
10/08 朝鮮、公使三浦梧楼の首謀のもと、日本人の壮士・軍人が王宮に乱入し、王妃の閔妃を暗殺する。閔妃44歳(誕生:1851/09/25)。大矢正夫これに参加。(明治波濤歌・風の中の蝶)
二十九年
5月 樋口一葉、「たけくらべ」を文芸倶楽部に一括再掲載。鴎外や露伴から絶賛を受ける。(人間臨終図鑑)
05/21 大山信子、肺結核で死亡。(人間臨終図鑑)
11/23 樋口一葉、没。25歳(誕生:明治5(1872)/03/25)。(明治波濤歌・からゆき草紙)
幸徳秋水、三春の士族の娘を娶るが三ヶ月で離縁する。(四分割秋水伝)
三十年
08/10 両国の川開きで、多くの人出のため欄干が壊れて200人あまりが川に転落し、死傷者が出る。市太郎、お葉と再会。彼女を助けるため短刀を振り回して道を切り開く。市太郎は警察に捕まり、お葉はまた姿を消す。市太郎二度目の赦免。(明治かげろう俥)
三十一年
06/15 アメリカがハワイを併合する。これに関し、駐米公使・星亨がハワイの占領を具申。アメリカより賠償金を獲得する。(明治暗黒星)
真夏 駐米公使星亨、隈板内閣の蔵相になるつもりで無許可で帰国する。(明治暗黒星)
09/10 川上音二郎夫妻、福沢桃助から調達した船で南極探検に出発。福沢の居候白瀬元中尉、引き渡して出向を見送る。途中、オールを流されて横浜に漂着。妻・貞奴が溺れるが、野口英世によって蘇生する。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
11月 徳富蘆花、大山信子をモデルにして「不如帰」の連載を開始。(人間臨終図鑑)
12/01 船で神戸にたどり着いた川上夫妻、大黒座で公演を行うが、借金取りの横槍で出演料が踏み倒される。小屋主が借金の穴埋めと言いながら着服したため、川上の借金の相手・網島一家と騒動が起こる。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
12/18 上野の西郷隆盛像の除幕式が行われる。隆盛未亡人は「主人に似ていない」とつぶやく。
この年 幸徳秋水、黒岩涙香の万朝報に入社する。(四分割秋水伝)
三十二年
1月末 川上一座分散して逃走。渡米のための金策を行いつつ四月に横浜に集合することとされる。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
02/18 市太郎、上野で稲妻小僧の女お蓮を見掛け、その隠れ家を掴む。稲妻小僧、妾お蓮の密告で警察に捕まる。市太郎、お葉を庇って逃がす。(明治かげろう俥)
四月 川上夫妻、東京で野口と再会。彼の宿に転がり込む。三遊亭夢之助、野口の川上夫人貞奴への恋慕を見抜き、二人を引き離す策を吹き込む。 川上夫妻、網島一家に身柄を押さえられるが、野口の偽装したペスト騒動で助け出され、二十五日の船で渡米。野口は自分の渡米費用を貞奴に渡してしまう。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
05/23 川上一座、サンフランシスコに到着。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
夏 幸徳秋水、二度目の妻千代子を迎える。(四分割秋水伝)
09/10 上野東照宮にて「旧幕府史談会」が開かれる。伊庭想太郎、兄八郎の逸話を語る。(明治暗黒星)
10/02 幸徳秋水らが普通選挙期成同盟会を設立する。
11/18 内務省がペスト予防のため、清・インドからの古綿やぼろの輸入禁止措置を発表する。
三十三年
01/15 東京市が、ペスト予防のため鼠の買上げを実施する。
04/14 パリ万国博覧会が開幕する。
川上一座パリ万博で公演。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
06/01 伊藤博文、憲政党より党首就任を要請され、新党組織を示唆する。(四分割秋水伝)
08/30 幸徳秋水、「自由党を祭る文」を上梓する。(四分割秋水伝)
09/08 夏目漱石が英国留学のために横浜港を出航する。
救世軍、娼妓解放のため吉原に乗り込む。治三郎、救世軍の中にいた息子を救うため大立ち回りを演じ、警察に捕まる。治三郎二度目の赦免。釈放後、治三郎一家、再起を懸けて横浜へ引っ越す。(明治かげろう俥)
10/28 夜、夏目漱石が文部省派遣の留学生としてロンドンの大英博物館の近く、ガワー街のスタンレー・ホテルに着く。
11/12 パリ万国博覧会が閉幕する。
11/15 東京市会汚職事件で星亨が告発される。星、伊藤内閣の逓相は辞任するが、市会議員の座は保持。(明治暗黒星)
12/05 野口英世博士、渡米のため横浜から出航。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
三十四年
01/18 川上音二郎、貞奴らがパリから帰国する。
04/29 皇太孫・迪宮裕仁親王(後の昭和天皇)誕生。(黄色い下宿人)
五月上旬 シャーロック=ホームズ、夏目金之助に掛けられた殺人容疑を晴らす。夏目氏、帰宅後、ホームズの推理を覆して真相を解き明かす。(黄色い下宿人)
06/21 星亨が、東京市役所で伊庭想太郎によって暗殺される。52歳(誕生:嘉永3(1850)/04/14)。(明治暗黒星)
八月半ば 「二六新報」の懸賞に対抗して、黒岩が宝探しクイズを考案、「万朝報」は部数を伸ばす。(明治バベルの塔)
09/01 伊庭想太郎に星亨の数少ない友人と名乗る人物が面会する。彼は星を擁護する発言を残して去る。(明治暗黒星)
09/20 東京控訴院で、足尾銅山鉱毒事件の公判が開始される。(明治バベルの塔)
十月半ば 黒岩、足尾銅山・古河工業と鉱山監督所の癒着をクイズに隠して掲載。心中事件に発展する。(明治バベルの塔)
10/23 田中正造が、足尾鉱毒事件に抗議して議員を辞職する。
十一月 田中正造、黒岩に直訴状の推敲を依頼。(明治バベルの塔)
12/10 前代議士の田中正造が天皇に足尾鉱毒事件について直訴を試み、とりおさえられる。(明治バベルの塔・四分割秋水伝)
12/13 中江兆民、没。55歳(誕生:弘化4(1847)/10/01)。幸徳秋水、師の死に水を取る。(四分割秋水伝・上半身)
三十五年
01/30 日英同盟、ロンドンにて調印される。
10/06 横浜でペストが発生する。伝染地区の焼き払いで、治三郎またも全財産を失う。市太郎、業火の中へ飛び込んでお葉を救い出す。制止した巡査を斬った咎で市太郎逮捕。(明治かげろう俥)
三十六年
01/23 夏目漱石が3年ぶりにイギリスから帰国する。
04/08 黒岩涙香、幸徳秋水、内村鑑三、堺利彦らが「万朝報」に反戦論を執筆する。(四分割秋水伝)
04/18 [清の光緒29年3月21日][ロシア暦4月5日]ロシアが満州撤兵を履行せず、新たに清国に対して要求をつきつける。
09/22 三遊亭夢之助(後の永井荷風)、渡米のため横浜から出航。(明治波濤歌・横浜オッペケペ)
10/04 川上音二郎らが東京・本郷座でお伽芝居「狐の裁判」などを上演する。
師走 家族に見捨てられた治三郎、お蓮に煮えたぎった油を浴びせる。治三郎は警察に捕縛。(明治かげろう俥)
10/12 幸徳秋水、境利彦、内村鑑三が、万朝報を退社する。万朝報が日露開戦に傾いたため。(四分割秋水伝・上半身)
11/15 幸徳秋水・堺利彦らが平民社を設立し、平民新聞を創刊して非戦論を主張する。(四分割秋水伝・上半身)