甲賀忍法帖

甲賀忍法帖勧奨計画

　甲賀忍法帖の要素を分析し、各人の”ツボ”から次に読むべきお勧めの忍法帖を紹介します。

　取りあえず長編のみ。

壱　歴史の陰でうごめく忍者の活躍　

　甲賀忍法帖では徳川三代の継承争いが描かれました.。歴史の事実を知っている人間にはあらかじめ結果が分かります。にも関わらずその過程で命を落としていく忍者達の悲壮さが胸を打ちます。

　以下に挙げるのは、そうした結果が分かっているけどその過程に嗜好を凝らした作品に成ります。結果は歴史的事実として確定しているので、ネタ晴らしには成りません。

　「伊賀忍法帖」　「信玄忍法帖」　「風来忍法帖」　「忍法忠臣蔵」

弐　伊賀と甲賀の宿縁

　伊賀鍔隠れ谷と甲賀卍谷はその後の作品でもしばしば登場し、互いに死闘を演じます。ときおり、ここに根来が加わって三つ巴という場合もありますが。

　「忍法八犬伝」　「外道忍法帖」　「忍者月影抄」　「秘戯書争奪」

参　文学作品のパロディとして

　「甲賀」のモチーフの一つは言うまでもなく「ロミオとジュリエット」です。そうした過去の文学作品も忍法帖として新たな魅力を生み出します。

　「忍法八犬伝」　「魔界転生」　「忍法忠臣蔵」

肆　聖女と守護騎士の物語

　多くの読者はタイトル通り甲賀に肩入れして読むでしょう。にも関わらず伊賀が全くの悪役に成り得ないのが朧姫の存在。忍者でありながら忍法を使えないと言う特異な立ち位置ですが、彼女は後の作品で顕著になる”聖女”属性の原型です。

　聖女とは単に忍者達に守られるだけの存在ではありません。むしろ忍者達は聖女を守るためにこそその驚異的な力を発揮するのだと言えます。

　「風来忍法帖」　「忍法八犬伝」

伍　魔女の系譜

　聖女と並んで山風作品を彩る魔女達。甲賀では朧を激しく憎む陽炎がその代表格となりますが、彼女の場合にはその能力故の悲哀も備えています。そして多くの魔女達は主人公への恋着から、悲しく滅んでいくのです。

　「伊賀忍法帖」　「柳生忍法帖」　「江戸忍法帖」

睦　剣士対忍者

　忍法帖特有の忍法に対し、剣士達は如何に挑むか。

　「伊賀忍法帖」　果心居士対上泉伊勢守

　「江戸忍法帖」　甲賀七忍対葵悠太郎