天狗岬殺人事件

 単行本未収録作品集。四部構成。各作品を光文社版に準じて区分してみました。

PART1

「天狗岬殺人事件」 本格篇

「この罠に罪ありや」 サスペンス篇

「夢幻の恋人」 サスペンス篇

 同じネタが時代物でも使われました。作品名を挙げるとネタバレになるので書きませんが。

「二つの密室」 ユーモア篇

 海外作家のパロディ。しかし元ネタが判らない。

PART2

「パンチュウ党事件」 ユーモア篇

「こりゃ変羅」 セックス&ナンセンス篇

江戸にいる私」 怪奇篇?

 同名作品が有りますが、こちらは同じ江戸でも家康存命の創成期に乱入します。

 素広平太博士が登場。冷凍睡眠で1960年から350年後に覚醒するはずだったのが、何故か350年前に目覚めてしまった男女の話。SF的には無茶苦茶ですが。

 やたらと冷凍睡眠ネタが多い(そのものズバリの「冬眠人間」と言うタイトルの作品が三編もある)が、眠ったままで時をやり過ごすという状態が戦中体験に繋がるからであろう。

「贋金づくり」 ユーモア篇

PART3

 姫と爺とその孫の少年という時代物で有りそうな三人組が活躍するシリーズ。

 纏めて戦争篇。

「三人の辻音楽師」

「新宿殺人事件」

「赤い蜘蛛」

「怪奇玄々教」

「輪舞荘の水死体」

PART4

「あいつの眼」 悽愴篇

「心中見物狂」 サスペンス篇

 引っかかった。最低でも二度読み返さないと理解出来ない筈。

「白い夜」 本格篇

 「結婚したすべての男を、これは大変な失敗をしまったかも知れないぞ、と思わせるのは、大抵の女がそうだよ」だそうですが。

「真夏の夜の夢」 悽愴篇

 貧乏性に対する金持性。「もともと貧乏性の人間は、たとえ金持になったって、決して闊達にも果断にもなりゃしない。いっそうビクビクして、ケチで、猜疑心がつよくなるばかりだ。」これは日本人全般の性質ではないでしょうかねえ。

 「幽霊になって出てくるような人間は、…なんでもじぶんの不幸を他人の責任におしつける、虫のよい人間だよ」「…幽霊になやまされるような人間は、…なんでも人の不幸まで自分の責任に背負い込んでしまう…」私は幽霊にも、幽霊に悩まされる人間にも成りそうに無いなあ。

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