4 棺の中の悦楽 悽愴編 01/08/07入手。
前巻と並んで一番山風らしい作品群だと思う。特にこの巻はまさに悽愴という表現がぴたりである。
「女死刑囚」(本文庫にて初読)
舞台が現代なので厳密には違うが、切支丹物に通じる雰囲気がある。
「30人の3時間」(本文庫にて初読)
カタストロフまでの過程を延々と描写しつつ、しかも落とさないところが実に人が悪い。
「新かぐや姫」(講談社大衆文学館「山田風太郎奇想ミステリ集」にて初読)
やはり、犯人?の意外性よりもその背景にある動機が問題となる。
「赤い蝋人形」(山田風太郎傑作大全12「赤い蝋人形」(廣済堂文庫)にて初読)
事件の真相に隠れたもう一つの真実…。これは本格篇に入れても良かったはず。
「わが愛しの妻よ」(山田風太郎傑作大全12「赤い蝋人形」(廣済堂文庫)にて初読)
社会正義の胡散臭さが痛烈に指摘される。
「誰も私を愛さない」(「男性滅亡」(ハルキ文庫)にて初読)
日下三蔵氏の改題では表題作「棺の中の悦楽」のプロトタイプと書かれているが、そう思って読むと、遍歴するのが男性か女性かでこうも話が変わるのかと考えさせられる。
「祭壇」(講談社大衆文学館「山田風太郎奇想ミステリ集」にて初読)
目に見える事実が真実とは限らない…。こんな懐疑的な作品を書いていたら理詰めの本格推理はとても書けまい。
「二人」(講談社大衆文学館「山田風太郎奇想ミステリ集」にて初読)
ミステリーの定番?
「棺の中の悦楽」(講談社大衆文学館にて初読) 評価B
大島渚監督により映画化されているが、監督は作者から「あなたには私の作品は向いていないです」との手紙を貰ったらしい。
解説・川出正樹