第三回WBC観察雑記

 ”観戦”でないのは、今回はあまり注目していなかったから。

§1 参加問題

 参加保留問題は第一回目から有りましたが、過去二回の優勝を受けて、利益配分問題があからさまになってきました。開催国アメリカは勝たなくても一定額の収入がMLBに入るわけで、これがアメリカが大会で振るわない原因ではないかとも言われるのですが。

 WBCの存在が五輪種目復帰運動を阻害している観も有りますが、MLBが選手を出すだけWBCの方が幾分かマシという気がします。アメリカチームの集まりの悪さはまた別の問題。

 WBCがMLBの人材発掘に利用されているなあと言う観は有ります。国際大会で活躍すると海外のクラブから声が掛かるというのはサッカーでも見られますが、WBCだと海外=MLBの一択なのでその印象は強くなります。WBCがMLBの主催であることを考えれば余計に…。

§2 監督問題

 参加が決まったあとも、代表チームの監督を誰がやるかでまたひと悶着。

 国際大会を前提とする競技なら代表監督は常設されているものですが、野球の場合は五輪にしてもその都度に決めるのが通例。これも野球の運営団体が統合されたピラミッド構造になっていない実情と絡むのですが。

 我が父などは野村が居るじゃないかと言いましたが、あの方の手腕は評価しますけどクラブチームの監督とナショナルチームの監督では必要とされる能力が異なるのでは無いかと思うのです。

 山本監督だからイチローが不参加だったとか、でもイチローが参加しなかったのはチームが替わってレギュラーが約束されていない点が大きいでしょう。加えて言えばヤンキースはWBCに選手を送り出すことに消極的でしたし。

§3 クラブチームとナショナルチーム

 独立採算制で選手集めから育成までやらなければならないクラブチームに対し、ナショナルチームでは国籍条件だけを考慮して優秀な選手を選び出す作業の方が重要。

 チームを支える基盤も両者では大きく異なります。アメリカナショナルチームがいまいち振るわないのも、アメリカが勝つことよりも地元チームが勝つことを重視するアメリカ人の気質が大きいのかもしれません。アメリカが連邦国家であることがいみじくも現れています。

 アメリカ以外のチームが、打倒アメリカを旗印に気合を入れていることも、アメリカが勝ちにくい要因かもしれません。キューバやベネズエラと言った反米国家が野球に力を入れているのもその象徴。今大会でベネズエラがあっさり負けたのも、チャベス大統領の死去が影響しているのでしょうか。ベネズエラが反米路線を止めれば、他の南米諸国と同様にサッカー一辺倒になるのかもしれません。

 選手の側も、クラブチームでの活躍は生活に直結し、ナショナルチームでの結果は名誉と夢。国際大会の格と知名度が大きく影響する。

§4 ベスト4

 ベスト4に残ったのは日本以外は始めての顔ぶれ。日本以外はどこが勝っても初優勝なのですが。メジャー抜きだった日本に対し、他の三カ国はメジャー主体の構成。これは日本式野球対メジャーリーグ式ベースボールの対決と言ってよいでしょう。

 こうなるとやはり本場での戦いでは日本は不利。戦力不足とは言いませんが、やはり空気の違いは影響したことでしょう。やはりチームリーダーとしてのイチローの存在は大きかったか。日本ベンチは、メジャーの経験者をアドバイザーとして入れておくべきだった気がします。

 でも、今回のドミニカの強さは圧巻。史上初の全勝優勝は文句なし。

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