架空戦記あるいは歴史ミステリー

 変なまとめ方ですが、歴史時代小説とSF小説とミステリーの境界に入る作品を取り出しています。

柘植久慶

 「土方歳三の鬼謀」 全三巻 ハルキ文庫

 一話完結式の架空戦記。それぞれ鳥羽伏見、会津戦争、函館戦争を扱っているため、連続性がありません。丁装は初出のPHP新書の方が格好いいかも。

 「神奈川縣札」 ハルキ文庫

 同じく幕末の戊辰の役を背景としていますが、こちらは歴史ミステリーに分類すべきでしょう。

東郷隆

 「架空戦記・信長」 正・続二巻 講談社文庫

 その昔コーエーから出ていた一連の仮想歴史小説の文庫版。(

 謙信の暗殺が未遂に終わり命を長らえた彼の上洛作戦により信長の主立った家臣は討ち死に、安土城が落ちて信長も生死不明。というのはあらすじでなく状況設定です。ふつうの架空戦記物ならこのあたりを書き込むところですが、そこをすぱっと落として伊勢に逃れた信長の意表をついた反撃作戦に主軸をとります。

伴野朗

 「傾国伝」 祥伝社文庫

 島原の乱と明の滅亡を結びつけた壮大な歴史ミステリー。

井沢元彦

 出身がミステリー畑の方なので、ここへ名前を出しておきます。

 織田信長推理帳シリーズ。

 「修道士の首」「五つの首」「謀略の首」 講談社文庫

 敢えて最近出たコミック版を紹介しておきます。(05/11/03追記)

 「銀魔伝」 中公文庫

 本能寺の巻 源内死闘の巻 

 歴史伝奇。日本を裏から支配する謎の銀魔とそれに対抗する人々の死闘。

 「「日本」人民共和国」 光文社文庫

 パラレルワールドモノ。主人公の男女が共産革命が成功してしまったもう一つの日本に迷い込んでしまう。

 「恨の法廷」 徳間文庫

 現在絶版ですが是非復刻させましょう。投票はこちらへ。

私論道中・悲劇の日韓関係史

葉隠三百年の陰謀

 鍋島”化け猫”騒動をモチーフとした歴史推理。鍋島家のお家乗っ取りの陰謀を暴くと同時にミステリーとしての構造も併せ持つ。歴史上の人物を探偵役に据える作者お得意のパターンでもあります。

豊田有恒

「聖徳太子の叛乱」  徳間文庫

 その昔コーエーから出ていた一連の仮想歴史小説の文庫版。

その他のSF

「タイムスリップ大戦争」 角川文庫

「パラレルワールド大戦争」 角川文庫

 架空戦記物が認知される以前のモノ。普通にSFとしても読めるけど…。

「日本分断」 実業之日本社 全3巻

 日本が北=日本民主主義人民共和国と南=大和(”だいわ”と読む)民国とに分断された仮想世界におけるスパイ小説。ちなみに朝鮮半島は統一状態で高麗国。ソ連は健在で代わりに中国が共産主義を捨てている。

「自爆半島」 祥伝社

 近未来小説。と言っても設定年代が既に過去になってしまいましたが。

歴史ミステリー

「崇峻天皇暗殺事件」 講談社文庫

「大友の皇子東下り」 講談社文庫

南條範夫

 「異伝 徳川家康 三百年のベール」 学研M文庫

 隆慶一郎氏の「影武者徳川家康」の元となった「史疑」を書いた村岡素一郎を描く小説。その内容の真偽については作者(=南条氏)は冷静に留保している。

霧島那智

 「真田幸村の鬼謀」 全五巻 双葉社

 諸事情があって続きが書けない小説。(その代わりにこんなものを…)と言う裏事情は置くとして、小説としては面白い。各巻の冒頭で全巻までのあらすじを纏めるのは親切なのか、(極端な話最終巻さえあれば話は分かってしまうと言う…)。

 

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