茂平次の事件簿

 佐七のライバル海坊主の茂平次の登場する作品。抜き出してみると意外に少ないか。

 佐七を「駆けだし」や「青二才」と見下すのものは(故意か偶然か改作モノに多いのだが)年代的に早いモノと推定する。

「音羽の猫」 文化十三年

初夏 状況証拠で辰を下手人呼ばわり。挙げ句に偽金作りの用心棒に仕立てられるが、佐七に庇われる。

「唐草権太」 文政元年

九月 茂平次、四十。まだ「青二才」呼ばわり。

「女刺青師」 文政二年

 去年の暮れから風邪をこじらせて二ヶ月ほど寝込む。

 佐七の見舞いに際して起きたらこの事件の下手人を挙げてやると息巻く。 回復直後、越前屋のお藤殺しの現場に現れる。

「まぼろし小町」 文政二年

 名前だけ登場。

「風流女相撲」 文政三年(「駆け出し」発言、42,3才。)

「この暑さで…」とあるので夏頃

 先着し、容疑者を連行する。

「冠婚葬祭」 文政三年?(「駆け出し」発言)

秋も深まって 茂平次の縄張りの近く、浅草馬道の紙問屋扇屋の嫁が五月屋の後家の死体とすり替わる。

 辰と豆六の聞き込みで駆けつけた佐七を駆けだし呼ばわり。

「山吹薬師」 文政三年(「後進」発言)

 年の暮れ二の酉 佐七とともに予告状を送られ、容疑者を捕らえるも逃げられる。

「春姿七福神」 文政四年(「駆け出し」発言・気候条件)

初春 歌川国富の「春姿七福神」 。モデルが次々に殺害される。先着し推理を展開するが、例によって佐七にひっくり返される。

「花見の仇討ち」 文政四年

花見の頃 飛鳥山での殺人事件。辰と豆六を出し抜いて容疑者を挙げるが、例によってお手つき。

「三人色若衆」 文政四年(「どぶねずみ三匹」発言、それまでの軽視から対抗心に)

九月二十八日 茂平次 密告により銀弥?の首無し死体を発見。

 犯人が敢えて佐七を避けて茂平次を選ぶ。

「水晶の珠数」 文政四年(全集未収のため茂平次の縄張りが元稿のまま本所横網になっている)

春 彼の受け持ちで起こった花蝶の殺人を捜査。浅草の第二の現場で佐七一家と鉢合わせ。辰、茂平次の前で伯母の情報を漏らしてしまう。

「黒蝶呪縛」 文政四年

十月 花嫁紛失事件について聞き込み。

「屠蘇機嫌女夫捕物」 文政五年

正月八日 喧嘩して飛び出したお粂が出会した殺人事件。死体が運び込まれた自身番に現れる。

 第一発見者であるお粂が死に際の情報を佐七だけに流したために勝ち目無し。

「悪魔の富籤」 文政五年 (縄張りが旧設定の本所横網、同ネタの「鶴の千番」が後期なので…)

 先着。佐七を見て「浮かれ鳶…油揚げをさらいに…」と毒づく。

「夜歩き娘」 文政五年

九月末か十月初頭 柏屋の一件で姉娘お里を下手人として引っ張る。(例によって佐七の再調査で覆る) 

 

「銀の簪」 文政八年

一月 後から来て事件に首を突っ込む。

「夢の浮橋」 文政八年

三月 先着して容疑者を押さえ、自供を引き出すが…。

「八つ目鰻」 文政八年

十七日 小間物店梅鉢の御隠居佐兵衛殺害事件の下手人として店子の浪人青山福三郎を捕らえる。

八月下旬 事件に疑問を抱いた神崎が佐七に再調査を命じる。

「狐の裁判」 文政九年

七月 歌川歌十郎の子梅丸が殺害。現場に先着し推理を展開するが、子供(梅丸の兄千代太郎)にやりこめられる。

「梅若水揚帳」 文政十年

 昨年 梅若の水揚帳を手に入れて苛烈な調査を行う。その影響の大きさから奉行所から捜査の打ち切りを命じられる。

 このとき佐七は別に御用があって事件に関与せず。辰と豆六も死体を見ただけ。

「お俊ざんげ」 文政十年

 上野の花見でスリ騒ぎに出会す。

「蝙蝠屋敷」 文政十年

お盆過ぎ・七月二十一日 こうもり屋敷で殺人事件。

 手を焼いてさじを投げる。当時左七は別件で関知せず。

八月 佐七に事件を譲る。交渉を任された豆六に毒気。

「雪達磨の怪」 文政十年

 ちかごろとかく佐七に押されて振るわぬ…。対抗心むき出しだが、見下した発言は無し。

師走 海老床へ現れて、辰と豆六の眼前で容疑者を捕縛。

 失敗から頭を丸め、ますます海坊主らしくなる。(「すっぽん政談」でも言及)

「すっぽん政談」 文政十一年(「雪達磨の怪」の後日)

春 現れた佐七を見てへそを曲げる「お前のような人気者…」。

「妙法丸」 文政十年

十二月(浅草の年の市三日目) 松下庵久斎惨殺され、井戸の中で見つかる。茂平次先着。辰と豆六が行き会わせる。

 珍しく(作中では初めて?)茂平次が下手人を挙げている。

「地獄の花嫁」 文政十一年(佐七の助言を受け入れているので後期。消去法)

八月十五日の舟遊びでの事故。

翌日 佐七の横やりで性急な捕縛を思い留まる。

「万歳かぞえ唄」 文政十二年

新春 辰と豆六のおとり万歳に興味を示す。

 上方の御用聞き御朱印の吉五郎に宿を貸す。

「相撲の仇討ち」 文政十三年

正月 白藤関の殺害容疑で横綱仁王権太夫を捕縛。駆けつけた佐七により白藤の無事を告げられて赤っ恥。

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