お粂の事件簿

 お粂の嫉妬が導入部となったり、あるいは潜入捜査等のお粂の行動が解決に繋がった事件。

 お粂が出張って活躍する事件は主に前半部に集中すると考えられる。

「嘆きの遊女」 文化十二年

 佐七と辰五郎、飛鳥山へ花見。お粂の目の前で殺人。

 吉兵衛の名を騙って佐七を呼び出して助けを求める。

 事件の解決に伴って自身も知らなかったお粂の生い立ちが明らかになる。

「山雀供養」 文化十二年

 お粂自身は登場しないが、新婚惚けだと神崎から叱咤される。(辰が登場しないのは、彼が後から加えられたキャラクターだからだろう)

「花見の仮面」 文化十三年(結婚一周年)

 飛鳥山の花見。昨年の出会いを思い出す。お粂潜入捜査の初陣。

「音羽の猫」 文化十三年

 爪切りから事件の話が始まる。

「離魂病」 文化十四年(「紅梅屋敷」にて言及・豆六登場後)

お盆の十三日 ひさご屋で佐七の幽霊(偽物)を見る。(七日ほど前から佐七の偽物が出没する。)

 偽物の殺人により佐七が捕縛。お粂、禁足を破って真犯人を追い、捕まってしまう。

「鳥追い人形」

 佐七が受け取った女文字の手紙にやきもち。(改作ものなので事件への関与は無し)

「稚児屋敷」 文化十四年

 海老床に辰と豆六を迎えに行く。

「紅梅屋敷」 文化十五年(三年前は佐七まだ部屋住み・佐七の離魂病に言及。「離魂病」の後)

梅の咲く頃  お小夜に送られた佐七の偽手紙。お粂立ち聞きして悋気を起こす。

 裏でこっそり動いたお粂、謎の一端に触れる。離魂病に託けて告白。

「巡礼塚由来」 文化十五年(豆六登場の翌年)

三月半ば お粂、生き神様華厳院英存に日参。潜入捜査。

「佐七の青春」 文化十五年(豆六登場後。母お仙は既に没)

(恐らく)初夏  いつもの夫婦げんか。亡き姑の遺言を盾に佐七を家から追い出す。

 昔なじみのお絹と組んで佐七に一杯食わせるが…。

「春色眉かくし」 文化十五年

 お粂の悋気話。相手先へ乗り込むが実は相手は早変わりの名人・嵐雛之丞の女装姿だと分かる。

「ふたり後家」 文化十五年

みじか夜(=夏)  髪結いのお竹を呼んでおめかし。珍しく佐七の方から焼き餅。

「比丘尼宿」 文政元年(「離魂病」の話題が出る。)

長梅雨  比丘尼宿での一件を辰と豆六より聞かされて大げんか。独自に探りを入れて事件の裏を掴む。

「女刺青師」 文政二年?

正月 姫始め後の三日。辰と豆六、遅い帰宅。

 事件解決後、飛鳥山で花見。お源も参加しており、「呪いの畳針」で言及された花見と思われる。

「人面瘡若衆」 文政二年?(この年佐七一家で花見せず)

春 此処一月あまり事件なし。

 近所のお義理で向島へお花見に出る。その帰りに柳橋の万八で因果くらべ。人面瘡持ちの美少年と刺青を背負った女達磨を見る。

「まぼろし小町」 文政二年?

 いつもの夫婦げんか。辰と豆六が戻ってみると既に収まっている。

 行き詰まる佐七を見かねて仏壇に線香を上げる。これが事件解決のきっかけを与えた。

「捕物三つ巴」 文政二年?

秋入梅の頃  悋気を起こし尼になると宣言して家を飛び出す。音羽の親分の所へいく途中、行き違った男の背負う葛籠から流れる血に気付く。置き去られた駕籠から女の死体が出る。

 お粂の掴んだ裏情報が事件の決め手となる。

「五つめの鍾馗」 文政三年?

四月二十八日 お粂、佐七のふんどしを糸で封印。これがほどけていた事から喧嘩になる。来客により中断。

 事件の過程で疑惑が晴れる。

「冠婚葬祭」 文政三年?

秋 佐七が幼い頃からよく知った娘お蝶の婚礼。浅草での捕物があって、お粂が代わりに出席。

 辰の「男めかけ」話に怒泣。

「まぼろし役者」 文政四年(「生まれて28年」発言)

 佐七大患いで一時は春を越せまいとまで言われた。

 辰の「鬼の霍乱」発言で憤慨。佐七、うなされてお粂の名を呼ぶ?

「呪いの畳針」 文政四年

三月 花見の話題中、お源が来客を伴う。

 昨年は忙しくて花見をせず。一昨年の飛鳥山の花見ではお源の三味線で踊り疲れた辰と豆六が反吐を吐く。

「花見の仇討ち」 文政四年

 「呪いの畳針」の後日、飛鳥山で花見。昨年(文政三年)初版の「八笑人」を模した殺人事件。

 事件の関係者と思われる虚無僧姿の男と話す。

「非人の仇討ち」 文政四年

初鰹の時期(旧暦四月頃) 朝帰りの辰と豆六に意見しようと待ち構える佐七とお粂。酒を飲みながら待っていたら逆に意見される。

 来客もあって一旦は有耶無耶になるが、事件の落着後にお仕置き。

「蝶合戦」 文政四年

 お粂の一言で残された謎が解ける。

「色八卦」 文政四年

四月十八日 湯島の富くじ。外れてがっかりして帰る。この時の見聞が事件の解決に役立つ。

「屠蘇機嫌女夫捕物」 文政五年?(嫉妬ネタの初出。豆六は後から加えられたのだろう)

正月八日 夫婦げんかで家を飛び出し、辰と豆が追う。事件にぶち当たって引き返し喧嘩はうやむや。

「神隠しにあった女」 文政五年

 女髪結いの元に聞き込みに向かう。

「吉様まいる」 文政五年

 紅殻屋のお七の遺児の父親探しで潜入捜査。

「くらやみ婿」 文政五年

十月 呉服屋・甲州屋の番頭喜兵衛の相談を聞いて独自に心当たりを探る。

「角兵衛獅子」 文政六年

正月十一日 こんぴら様の夕参りに行った左七が帰らず、辰と豆六に煽られて悋気。

 

 幕府の上層部に改革により神崎が失脚。佐七夫婦も江戸を離れ一家は解散する。

 

「銀の簪」 文政八年

春(一月) 幕府の改革が収まり、神崎が八丁堀に復帰。佐七も江戸へ舞い戻る。

春 板橋への使いの帰り銀の簪を拾う。

「藁人形」 文政八年

 辰に焚き付けられて悋気。その相手がやってきて当たり散らすが、事件を告げられて終戦。

「お玉が池」 文政八年

九月半ば 一家で俳諧にはまり、師匠の玉池庵にて連句の会を催す。

「日食御殿」 文政九年

正月元日  年始に出る佐七のために手縫いの着物を仕立てる。

「化け物屋敷」 文政九年

夏 暑気あたりのお源を見舞った帰り、本所一つ目の化け物屋敷に佐七(の偽物。実は良く出来た人形)が入るのを目撃。帰宅して左七と大喧嘩。

 化け物屋敷に出向いて捕まり佐七達に助けられる。

「梅若水揚帳」 文政十年

正月十三日、事件についての情報を聞き込んでくる。

「神隠しばやり」

二月 おとり役を務めて事件解決に一役買う。

「お時計献上」 文政十一年

二月 茗荷屋のおきんの捜索でそわそわする佐七の鬚を当たる。ドサクサにまぎれて顔を切ってしまおうという魂胆。若い頃ならもっとストレートに悋気を起こすのだろうけど。

「緋牡丹狂女」 文政十一年

八月 おとり捜査に駆り出される。

「地獄の花嫁」 文政十一年

八月十五日 事件を危惧した女が尋ねてくるが佐七たちと行き違う。

「万歳かぞえ唄」 文政十二年

 佐七が両国橋付近拾った若者の世話に駆り出される。若者を訪ねてきた若い女を連れ去った年増女の正体(お種)に気付く。

 佐七はお種と直接会っていないのでお粂の記憶が鍵となった。

「女虚無僧」 文政十二年

春 お源の見舞いの帰り。行き会った油町喜久屋の娘お菊の身代わりを買って出て捕まる。

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