鬼火

第九章

 真っ紅に → 真紅に

 事、 → 事で、

 分らぬ → 分からぬ

 細々とした → 細々した

第十章

a) 句読点と改行

 講談社版のみに有る句点が一箇所。

b) 誤記の修正

 一心に釣り糸を → 湖心に釣り糸を

 意味合いが全く異なっています。多分、角川版による修正が正しいかと。

c) 表記の修正

 下旬の頃 → 下旬頃

 状態なので、 → 状態、

 これではなるまい → これではならじ

第十一章

 これ以降大幅に改訂が入っています。

a) 句読点と改行

 書き換えに絡む句読点の修正は含まない。

 角川版のみの読点が三箇所。逆に講談社版のみの読点が二箇所。角川版で読点だったモノが講談社版で一箇所が句点に、別に棒線に成った箇所がある。他にも角川版のみの改行がある。

b) 表記の修正

 単純な言い換えも含みます。

 一年振り → 約一年振り

 五分試し → 五分試めし

 先は → 先きは

 言う → 云う 二箇所

 どのようで → 如何ばかりで

 蝙蝠のように → 蝙蝠の如く

 ように呻く → が如く呻く

c) 表現の修正

 創元版が体言止め、言い切りが多いのに対し、角川版ではより丁寧な表現に成っています。

 物凄さと言ったら、 → 物凄さ、

 無表情な白い仮面といい、 →  無表情なるかの白い仮面

 真っ黒なホウ衣といい、 → かの真っ黒なホウ衣、

 ばかりでありました。 → ばかり。

 代助が再び〜、再び唸りを → 再び代助が〜唸りを

 棹が → 棹の

 なかったのです。 → なかった。

 その隙が、 → その隙こそ、

 つけ目でありました。 → つけ目、

 渾身の力をこめて曳けば → 曳く渾身の力、

 跳びました。(改行) → 跳んだ。(改行無し)

 五分五分です、 → 五分五分、

 無言でしたが、 → 無言、

 恐ろしいのです。 → 恐ろしい。

 様子でしたが、 → 様子、

 じゃありません。 → じゃない。

 登りましたが、 → 登る。

 水棹でした。 → 水棹、

 溜っているのですが、 → 溜っている。

 藻掻いているのです。 → 藻掻いている。

 様子なのです。 → 様子。

 ばかり、 → ばかり、

 地獄ではありませんか。 → 地獄

 、地底の泥に吸い込まれていくばかりなのです。 → 益々人は、地底の泥に吸い込まれていくばかり。

 代助こそ → 代助こそ

 やがて相手の陰険極まりない計画に気付くと勃然として激しい憤怒を感じましたが、

 → やがて勃然とこみ上げて来たのは激しい憤怒、

 棹です。 → 棹、

 代助は、 → 代助は今、 

 ばかりでした。 → ばかり

 いつか万造が → 万造が

 その辺でした。 → その辺、

 同じような情景、同じような葛藤、 → 同じ情景、同じ葛藤、

 あまりにも → あまり

d) 削除、改訂

 驚いた筈です。 → (削除)

 その藻掻きようが尋常ではありません。 → (削除)

 突き落とそうという考えであったのでしょうが、 → 飲み込まれるべき筈であったのでしょうに、

 それが反対に、自ら過ってその中に墜ち込んだというのは、なんという皮肉なことであったでしょう。

 → 今過って自ら墜ち込んだ運命の皮肉さ、浅ましさ。

 このまま救われていれば何事もなかったのですが、悪い事にはこの時ふいに

 → この時ふいに

第十二章

 同上。

a) 句読点と改行

 書き換えに絡む句読点の修正は含まない。

 角川版のみの読点が三箇所。逆に講談社版のみの読点が二箇所。講談社版のみの改行が一箇所。

b) 表記の修正

 単純な言い換え。

 その時さめざめと → 今さめざめとして

 くゎっと → かっと

 忌まわしそうに、 → 忌まわしげに、

 例の → かの

 のように、 → 如く、

 どのような → いかなる

 言う → 云う 三箇所

c) 表現の修正 

 ゴーゴンの → かのゴーゴンの

 ものがありました。 → もの。

 ばかりです。 → ばかり、

 嘲るとしても、 → 嘲りこそすれ

 思われません。 → 思われ

 起きあがりましたが、 → 起きあがると

 仮面です、 → 仮面、

 ところへ → 途端、

 姿でありました。 → 姿

 転げるのでありました。 → 転げました。

 元に彼の探ねている → 警部の探ねる

 つづいて何か → 何か

 〜さと〜を → 〜さと〜

 一週間ほど → この一週間ほど

 時には必ず → 時こそ

 二、三の → 二、三枚の

 手提鞄で → 手提鞄

 束でした。 束。

 ふるえました。 → ふるえ、 

 展望台、 → 展望台、

 姿でありました。 → 姿。

 らしいのですが、 → らしいが、

 様子です。 → 様子

 奇怪な → かの奇怪な

d) 削除、改編

 何のための泪なのか。何人のための嘆きなのか、代助自身にも分かりません。

 → 何のための泪ぞ、何人の為の嘆きぞ、

 自分を陥れ自分の生涯を滅茶苦茶に叩き潰したばかりか〜万造のことですから

 → 己を陥れ己の生涯を滅茶苦茶に叩き潰した憎むべき万造、〜万造、

 彼に分かりましょう。 → 警部が知りましょう。

 水虫のように → (削除)

 その後で起こった → (削除)

第十三章

 同一テキストを持ちいているので違いなし。

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