多元宇宙
マイクル・ムアコックの収蔵リスト。邦訳モノはほぼコンプリート。
四戦士
コナンに対するアンチテーゼであり、強いて言えばアンチヒロイックファンタジーである。年代順に六巻が刊行され、七・八巻は外伝的要素が強い。長く書き続けられた、作者の代表作と言って良いだろう。
三月より新訳版刊行開始。既刊本は二冊組で四冊、他に未訳本が三冊の計七巻。(06/02/08)
1 「メルニボネの皇子」(同時収録:「真珠の砦」)
旧1巻と旧7巻。確かに時系列順なんだけど…。シリーズ名が「永遠の戦士エルリック」になっていると言うことは、他のシリーズも期待して良いんでしょうか?
2 「この世の彼方の海」(同時収録:「〈夢見る都〉」「神々の笑うとき」「歌う城砦」)
2巻、いきなり表題が代わってるし。旧三巻の内、プロローグの「オーベック伯の夢」が外された所為だろうか。
3 暁の女王マイシェラ(同時収録:薔薇の復讐)
年代順に並べ直されたためにこの並録。続けて読むと違和感が有りすぎるかも、いや絶対に。
4 ストームブリンガー(同時収録:中編「魂の盗人」「闇の三王」「忘れられた夢の隊商」)
旧版「黒き剣の呪い」にあったエピローグ「タネローンを救うために……」が外されている。二巻で外された「オーベック伯の夢」と同様にエルリックが登場しない作品ではあるが。旧版の「炎の運び手」が「忘れられた夢の隊商」と改題されています。
さて、この先からいよいよ本邦初翻訳となります。
5 夢盗人の娘
エレコーゼの三巻「剣のなかの竜」との整合性は、無さそうです。パラレルと見た方が妥当でしょう。あちらのフォン・ベックには白子という描写は有りませんから。
6 スクレイリングの樹
旦那がさらわれて、嫁さんがそれを探しに行く、と言う逆転的な展開で始まります。エルリックもちゃんと出てきますがこれが本編にきっちりはまり込むから凄い。
7 白き狼の息子
ほぼ前巻の続き。ストームブリンガーを探すエルリックは遂に究極形態の黒の剣を手に入れます。タイトルになっている息子はほとんどちょい役で、親子対面も実にあっさりした物でした。しかし…。
「紅衣の公子コルム」 全六巻 早川文庫
長く書き続けてきた結果、前後の整合性が取りにくいエルリックサーガに比べ、作品的な整合性が高い。エルリックサーガとの関連性も注目。
旧版の全六巻から、前後二巻に纏められました。
「ルーンの杖秘録」 全四巻 創元文庫
四戦士(ザ・フォア)の内、これだけが出版社が異なる。(四戦士の意味は次項で)作品のトーンも他の三人より地味である。世界は”ファンタジー・ヨーロッパ”なので利用しやすい。
復刊完了。
「永遠の戦士シリーズ」(エレコーゼサーガ) 三巻 早川文庫
作者の”エターナルチャンピオン”世界の主軸。作者の作品群の主人公はすべて同一人物の転生であるというすさまじい設定がなされているが、エレコーゼは唯一そのすべての化身の記憶を持っている。中でもエルリック・コルム・ホークムーンそしてエレコーゼは四戦士として同一次元でとある冒険を行う。
エルリックに続いて全二巻で復刊決定。第一巻「永遠の戦士」は旧1,2巻の合本、そして二巻「剣のなかの竜」は旧三巻と思われます。
新約版エルリックの五巻「夢盗人の娘」との整合は図られるのでしょうか?
「ブラス城年代記」 全三巻 早川文庫
系列としてはホークムーンシリーズの続編として始まり、三巻では四戦士が勢揃いする。
世界観比較私論 ファンタジー編 §1 ムアコック
四戦士以外の作品
「この人を見よ」 早川文庫
現代人がタイムマシンの実験でキリストの生きた時代に行って…。
「白銀の聖域」 創元推理文庫
初期の名作。けど代表作が絶版になっている現状では…。復刊万歳。
「グローリアーナ」 創元推理文庫
いまや伝説となったかのサンリオ文庫から出るはずだった幻の名作。
グローリアーナが呟く神の名前クシオムバーグ(キシオムバーグ=剣の女王)とかアリオク(アリオッチ=剣の騎士・エルリックの守護魔神)の名前を見て、ああやっぱりムアコックだと思ってしまった。
「火星の戦士」 全三巻 早川文庫
最初に翻訳されたムアコックの著作。バロウズタイプと呼ばれる、ムアコックらしくない作品。主人公マイクル・ケインと聞き手エドワード・P・ブラッドベリィ(出版時の著作名義人)は共に永遠の戦士の一人に数えられている。
一巻本として再販。
永遠の戦士 フォン・ベック
第一巻 「軍犬と世界の痛み」
かつて集英社から「墜ちた天使」の題名で刊行されていた未読の作品の復活。このシリーズはフォン・ベック一族の伝説を描いているらしい。
第二巻 「秋の星々の都」
時代は下ってフランス革命時。粛清の嵐吹くパリを逃れたマンフレッドの冒険。
『マイクル・ムアコック』 復刊特集ページ