魔法的言語学2

1 母語と母国語

 まず用語の定義から。母語というのは、人が生まれてすぐに習得した言語で、通常会話や思考に使用する恐らくは最も得意な言語です。人間は思考の際に言語を使用しますから、言語能力は個々人の思考能力に深く影響します。逆に母語の表現形式は思考にある種の傾向を与えます。その辺がルールに反映出来ると良いですが。

 さて一方、母国語というのは、一国一言語の我が国ではピンと来ませんが、公用語が複数有る国で、一般に使用されている言語を総て含みます。公用語が複数ある国はその分文化的に多様だと言えるかも知れません。

 ゲーム上では、キャラクター同士が共通して語れる言語を持たないとプレイがやりにくいですから、共通語という極めて曖昧な概念を導入しています。異種族を含む多くのファンタジー系のRPGではこれ以外に種族固有の言語を持っています。彼らは種族語を母語とし、共通語は外国語=第二言語として習得しているはずですが、その辺りの違いは余り表現されていないようです。

 この共通語技能の高さはゲームの様々な局面に影響してきます。低く取りすぎると、某古典RPG*1のように相互の意志疎通にも事欠くことになります。また別の有る汎用システム*2では母語のレベルは知力と等しいと規定されています。このゲームでは知力という能力値が精神系技能の基準値となっているので、これは極めて現実的と言えるでしょう。

2 魔法言語と真名文字

 言語には洗練度と難解度(いずれも仮称)を設定します。洗練度は語彙の豊富さや文字の発達などの要素から決定され、魔法的な文化レベルとも相関します。言語の洗練度によって使える魔法のレベルが決まると言う事になります。難解度は第二言語としての習得の困難さを現します。言語はグループ化(語族)され、近しい言語同士では習得が容易になるでしょう。

 真名文字とは独自に発生しその言語に特化して発達した文字で、それ自体に魔力が宿っています。多くの言語は文字を自前で作り出す事が出来ず、近隣のより文化レベルの高い地域から文字を借りて表記方法を編み出しています。文字文化圏はそのまま魔法文化圏にも繋がります。その意味で真名文字とは表意文字でなければなりません。

*1 ルーンクエスト

*2 ガープス

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