テーマ5 死者の逆襲

 今回はタイトルに苦慮しました。ネタとして取り上げるのは「鬼神新選」(出海まこと 電撃文庫)です。

 相互リンク「妖々日本史」にて紹介されていた作品なのですが、まだ完結していないので評価が難しい。内容は幕末・明治というか新撰組を扱った魔界転生モノと言う事になります。

 新撰組の生き残りが、蘇ったかつての同志と戦うと言う着想は非常に面白い。主人公に永倉新八を持ってきた辺りが良い。これが斉藤一だと(某ジャンプ漫画でキャラが出来てしまっている所為も有りますが、)味が出ない。そう言えば、山風の明治モノに出てきた斉藤は永倉と出会して「アレは自分より強い」とか言っていましたが。

 その斉藤が出てくるのが同じく復活した新撰組隊士を取り上げた「FIGHTER」(吉田直 角川スニーカー文庫)です。作者本人が言っている様に、ネタ的には一冊に押し込めるのがもったいない話でしたが、これは蘇った側の土方と沖田が仲間割れを起こしてそれにちょこっと斉藤が絡むと言う話でした。(やや端折りすぎなのですが)恐らく魔術的な再生手段である「鬼神〜」に対して「FIGHTER」の方は機械的な再現らしいです。

 これで思い出したの「魔界都市〈新宿〉」(菊地秀行 朝日ソノラマ)です。魔界都市の先生という愛称?を生んだ祥伝社のアダルト版シリーズでなく氏のデビュー作の方ですが、これにはサイボーグ再現された柳生十兵衛が主人公の京也君と戦います。この辺、当時は解らなかったのですが、先達(山田風太郎)に対する氏のオマージュなのでしょう。

 さていよいよ本家の「魔界転生」です。山風忍法帖の最高傑作とされるこの作品は、忍法魔界転生によって蘇った転生衆と柳生十兵衛が死闘を演じると言う話です。これは忍法帖の最高傑作と言われますが、実体は剣豪小説なのです。(と言う訳で、当博物館では十兵衛三部作として忍法帖以外の作品として分類しています)

 内容に関しては今回はどうでも良いのです。昔、これをネタにしてRPGをやろうとしたのですが、そのとき使ったシステムと言うのがワープス・ファンタジー(笑)であったと言う。今考えると凄く無茶な話なんですが、キャンペーンの第一回だけやって続きをやる機会がなかったという落ちでした。

反省

 最後はRPGクロニクルの番外編になってしまいました。

遅ればせながら死者再生テーマ (04/04/28増補)

 「鬼神新選」の第二巻東京篇が発刊されました。第一巻が五話なのにこれは三話しかない。

 まあそれは良いとして(実は良くないんですが)、斉藤さんが出てきてしまいました。しかも現時点では敵か味方か解りません。幾つか予想は出来るんですが、それより今気になるのがこれが歴史改変モードに突っ込むかどうかです。

 死者再生による歴史改変は卑怯くさいので好みじゃないんですよね。これをやるなら敵味方双方に転生者を配しないとバランスが悪いです。あるいは生き返ったモノが仲間割れするとか。「FIGHTER」は結果的にこのパターンでしたし、「魔界転生」も最後に残った武蔵が離反してしまいます。

 逆に歴史改変を狙うなら、何かの理由で死ななかったことにすればいいのです。と言うか死ななかったことが既に歴史改変の起点になるわけで…。

 そもそも死者再生というのは生前に果たせなかった夢の対決を実現するモノだと思うのです。生きている内に会っていたかも知れないと言うネタも面白いのですが、これではどちらかが死ぬような決闘はさせられませんし。まあ、この原則を外しても面白ければ良いのですが、現状では判定保留としか言えません。

題材

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