テーマ4 時代劇RPGと忍者

 予告通り忍者についてです。

時代小説中の忍者

 忍法及び忍者という名称が山田風太郎師の忍法帖から始まったらしい(注釈)と言う事をまずことわらなければ成らないでしょう。山風以前は何と言っていたか、忍術及び忍術使い(あるいは忍びの者)というのが通例のようです。少なくとも忍者というのが歴史的な用語でないのは確かです。ついでに言えば、くノ一と書いて女の忍者を意味させるようになったのも山風以降らしいです。それまではくノ一と言えば忍の用語で単に女性を表していたようです。

 でやっぱり山風忍者から話を始める事にします。山風忍者の特異性は、彼らの忍法修行によって体得したそれまでの忍術と違って血統上の特異体質だと言う事です。山風忍者の多くは何に使えるのか分からない能力を抱えて生まれ、その能力の使い道を得て満足して死んでいくのです。言うなれば彼らは己の任務に殉じるのでなく、むしろ己の能力に殉じるのです。まあ、そうでない者達も一部居ますが。

 さて「産霊山秘録」に出てくるヒの一族に話を移します。彼らは高皇産霊神の直系を自称し、実際は天皇家よりも格が上なのだが、実務を委ねて自らは陰に回ったという。しかし長い年月を経て主客転倒し天皇家を守る忍びの位置に落ちている。また里人と交わって各地の忍びの宗家となったが、戦国時代にはその統制も崩れ、多くの忍びが生き残りを掛けて独自の行動を取るようになっていた。ヒの一族の最大の能力は三種の神器を用いたワタリすなわちテレポートである。神器は他に呪殺にも用いられている。SF畑出身の所為か、ヒの忍びはSF的な色彩が見える。

RPGへの応用

 山風忍者の再現は誰でも思いつく事だが実際には非常に難しい。忍者を扱った既存のRPGシステムは、多くの場合能力のみを再現して、その心情までは再現出来ずにいるようです。まあ、使ったら死ぬ様な能力を持つ一発芸忍者を好んで使いたがるプレイヤーは居ませんから。

 以前の稿で紹介した二つのシステムでは忍者はどのように扱われているか簡単に紹介しましょう。

 まず伝説(絶版で手に入らないと言う意味も含む)の「戦国霊異記」では忍の基本能力としての忍術と特異体質である忍法を分けて表記しています。この点は非常に評価出来ます。まあ、忍術と言う名称は他の魔法的能力である法術とか妖術とかとの兼ね合いも有るんでしょうけど。忍法が持てる確率が2/6(ダイスを振って1か2)で、その種類が十二個(先程のダイスに対応して各六個)というのは単に六面ダイスを使うからに過ぎませんが。

 次ぎに「天羅万象」その改良版としてのZEROをひもときますが、種類は一応三十一個有りますが、流派によって初級で三個、中級で三個、上級で三個、そして特級で一個の計十個しか会得出来ません。特級というのはその流派の秘奥義である忍法になります。これだと同じ流派の者が全て同じ忍法を得る事になるので、どうもしっくり来ません。まあ、RPGだとキャラクターがみんな忍者と言う事がないからこれでも良いんでしょうけど。

結論

 やはり忍者物RPGは自作するしかない。でも作ってもプレイする相手が居ないと…。

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