世界観比較私論 ファンタジー編
§3 ネーウォンあるいはランクマー フリッツ・ライバー
ファファードとグレイマウザーの活躍する世界。nowhenを逆に綴ってnehwonになったらしい。
ストーリー紹介でも言いましたが、古代ローマであり、現代のロサンゼルスでもあるらしい大都市ランクマーを中心にした魅力的な世界観は、その後のRPGに色濃く反映している。
やはりネーウォンの最大の目玉は、ランクマーの影の支配者たる盗賊結社でしょう。これは明らかにD&D以来の盗賊ギルドの原型です。またこれは盗賊という職業が注目された最初の作品では無いでしょうか。これが無かったら盗賊という職業がRPGの中に組み入れられる事も無かったでしょう。なぜなら、”戦士”の原型と言われるコナンはでありながら盗賊としても十分遣っていける技能を備えていましたし、指輪の英雄の一人馳男ことアラゴルン王は野伏すなわち後のレンジャーと呼ばれる職種だったのです。野外や都市での生活技能が”戦士”の属性の一つとして埋没しても一向に面妖しくない訳です。
脱線になりますが、D&Dの基本ベースはやはり指輪物語でしょう。これは友人の中でも読破している人間が少ない。私は借りてちゃんと読みましたが、D&Dをプレイしていた当時、高校生だった我々にはややあの衒学的な雰囲気に馴染めなかったかも。
さてファファードはコナンの典型的な亜種ですが、それに対して興味深いのが相棒のグレイマウザーでしょう。盗賊的な技能を持ち合わせているのですが、元魔法使いの弟子。T&Tで盗賊が魔法を使えるのは彼の影響と思われます。とは言え、盗賊が鍵や罠を魔法で排除するのは如何にも絵にならない。そう言う魔法は教えないようにと言うルールに成っていましたね。
コナンでもそうでしたが、この頃はまだ魔法使いというのが主役級の働きをしていない。二人にはそれぞれ守護者と言っても良い魔法使いが背後に付いているのですが、あくまでもNPCでしかない。魔法使いが表に出るのはやはりエルリック以降と言う事に成りますか。しかしエルリックにしても魔法使いとしては強すぎるため、戦士とのバランス取りが非常に難しく、これに成功したRPGは未だに存在しないのではと思われます。”マジックユーザー”使いとしては大いに不満ですが。
ちっともネーウォンの紹介になりませんが、この世界は結局ランクマーの魅力が全て、ですので。よって、表題をネーウォンからランクマーに訂正すると言う事で締めとします。
Lankhmar 英語版