§4 魔獣生態学
4−1 魔獣の生態的分類
魔獣はヒトの想像力が生み出した存在である。だからといって何でも有りという訳には行かない。神ならぬモノの想像力には自ずと限界がある。なぜならば、ヒトの想像力の基盤となるのは既存の知識だからである。要するに、魔獣が既存の生物をベースに創られている以上は、その生態も既存の生物に準じるであろうと言うことである。
と言う訳で、魔獣の特に人間の脅威となる捕食獣の生態は大きく2種類に分けられる。つまり、ネコ型とイヌ型である。
4−2 ネコ型魔獣
ネコ型とは一定の縄張りを持って行動する魔獣を指す。ネコ型に属する魔獣は総じて強力であり、それ故に同士討ちを避ける意味もあって互いに距離を保ちつつ生活し、繁殖期のみ雄と雌がつがう。
サイズが大きい生物ほど寿命が長い。哺乳類ではあらゆる時間が体重の1/4乗に比例する事が知られている。魔獣においても同様の傾向が有ると考えて良いだろう。また大型の生物ほど代謝効率が良いので乾燥や飢餓にも抵抗力を持つ。だが、大型の魔獣ほど多くの食糧を必要とするのもまた当然であり、共倒れを避ける意味でも、大型の魔獣はネコ型の縄張り生活を選択すると思われる。
要するに、大型の強力な魔獣が群れをなして襲ってくる、あるいは遭遇すると言う可能性は低い。但し、その生活圏を脅かした場合、共存は難しいだろう。また、場所に付く性質上、戦争に駆り出すのも望み薄である。重要拠点に住まわせておけば、防御には役立つだろう。
4−3 イヌ型魔獣
イヌ型とは群れを形成する魔獣である。群れを成すと言うことは単独では弱いと言うことでもあり、ネコ型よりも小型であると推定される。
イヌ型は群れを成す性質から社会性を持ち、人間との共存もネコ型よりは遙かに可能性が高い。飼い慣らしてパートナーにすることも考えられる。
但し、ネコ型に比べてイヌ型は嫉妬深い。魔獣使いは一対一が基本になるだろう。複数の魔獣を同時に扱うには、魔獣同士の序列化が必要になるだろう。戦争に用いるなら、同種の魔獣を群れごと囲い込むのが良いだろう。