テーマ7 時代小説の正しくない読み方

 正しくないと言うのは正しい表現ではありませんね。今回の話は時代小説をRPGのネタとして読もうというモノです。

換骨奪胎

 私がネタとして目を付けたのがかの「眠狂四郎」シリーズです。そもそも私がこのシリーズを手に取った理由からして普通ではない(書庫の小説棚・時代・歴史小説篇を参照)のですが、この連作モノをRPGのシナリオソースとして利用しようと考えました。

 例えばこうです。

 出世街道にあるとある高級官吏の屋敷にその出世を疎ましく思う大臣の手先が間諜を潜り込ませました。その間諜は妙齢の美女で官吏はこれを寵愛しています。この正体に気付いた官吏の側近がこの間諜を排除しようとして一計を案じます。その策とはその美女に男を近づけて二人まとめて処分させてしまおうというのです。さてこれを知った上でこの依頼をどう捌くか?

 見ての通り、時代小説的な要素を取り除いて一般化しています。無論、素材によっては時代背景が話の骨子に成っていてその時代でないと成立し得ない話というのも有るでしょうけど。その点、「眠狂四郎」では主人公が現代人的な虚無感を持って生きているので割と扱いやすいです。

捕物帖

 ついでに現代物ミステリーと捕物帖の違いについて。素材としては「顎十郎捕物帳」(久夫十蘭 朝日文芸文庫)を取り上げます。いや実は何でも良いんです。ただ私がこれを気に入っているのと、まだ手に入りそうだったからで。

 捕物帳の元祖とも言うべき「半七捕物帳」自体が日本のシャーロック・ホームズを目指していたというのですから、純日本風の探偵小説を目指したモノと捕らえれば良いのでしょう。ただし、ホームズモノが古き良きヴィクトリア朝の雰囲気を醸し出しているように、捕物帳も江戸風を楽しめると良いと思います。

 ただし、風俗の違いが真相解明の鍵になると現代人にはやや難解になってしまうので困りものです。その辺のバランスが評価のポイントですね。これは同時に時代小説としてみるか推理小説として見るかの境目でもあります。

 要するに設定がその時代でなければ成立し得ないなら時代物、関係なく成立するならミステリーと言うことでしょう。

予告

 と言うことで、次回は本格的に捕物帳を取り上げたいと思います。

 何時になるかは解りませんけど…。

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