§6 妖精大全
6−1 妖精の定義
伝承に残る妖精と言うのは力を失って小型化した古き神々であることが多い。そこから展開して、魔法世界における妖精を自然界の様々な現象の具現化・擬人化と定義する。彼らは魔法圏ごとに固有で、神々のように習合しないモノとする。
6−2 ニュンペー
ギリシア神話の妖精。正しくは下級女神である。
ギリシア神話では神と人間は血統的に繋がっているので、ニュンペーは神と人の中間的存在といえるかもしれない。彼女達(男性の妖精は出てこない気がする)は生活圏によって分類されるのだが、なんとなく水辺近くが多いように思える。冥界の妖精ですら、コキュートス川(三途の川)に出没する。
自然に近いがゆえに粗野で奔放(性的な意味で)な面も有る。
6−3 プーカ
ケルト系。アイルランドやウェールズなどに生息。
悪戯好きだが悪意は無い。ローマ化されたフランスには殆ど残っていないが、イギリスでは一部ゲルマン系と競合しつつ生き残っている。
民家に住み着いてその家を栄えさせるといわれるブラウニーは、ケルト系(ブリテン人)とゲルマン系(アングロ=サクソン人)の文化融合の典型で、都市化された存在と定義する。
6−4 アールヴ
ゲルマン系。エルフと呼ぶほうが通りが良いが、この名称はあまりに手垢がつきすぎてしまったので古ノルド語の呼称を用いる。
北欧神話におけるアールヴは自然の精霊や死者の魂を象徴するアニミズムに起因する。が、キリスト教の伝播により矮小化されていく。
6−5 フェアリー
通常は西洋における妖精の総称であるが、ここではキリスト教に駆逐された土着の神々のなれの果て、ラテン語で運命を意味するFateに由来することからラテン系の妖精の名称と考える。
6−6 ジン
アラブ系。男性形はジンニー、女性形はジンニーヤー。イスラムがその存在を認めている為にむしろ広がりを見せている。(キリスト教が古き神々を”悪魔化”しているのと対照的)
アラビアンナイトにおけるランプの精もこの一種である。
強大なものから順にマリード、イフリート(イスラムにおける堕天使)、シャイターン(サタン)、ジン、ジャーンと格付けされている。